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インファナル・アフェアIII 終極無間評論(20)
①“過去是過去。明天也開始。” 「広東語」は全く分からないが、香港返還をバックにした前作から「普通語」の台詞が増え出し、本作ではかなり「普通語」が飛び交うのでやや嬉し。
②結局「無間地獄」に堕ちたのはラウだった。そういう意味では三部作で最も可哀想なのはラウだったかも。
まあ、
映画の中でははっきりとは描かれてないけど、ヤンが死んだ原因にラウが絡んでいると気づいたリー先生が、ラウに催眠術をかけて自身をヤンだと思い込ませたのかな。
自分のことをヤンだと思っているラウは、自分とサムとの繋がりについての証拠を集めて、ラウを追い詰めようとする。でも結局それは自分自身の罪を、同僚の警察みんなの前で明らかにすることになる。ヤンのことを愛していたリー先生の復讐。
最初はなんでラウが倒錯していくのかよく分からなかったけど、後から考えるとリー先生はラウに対して診療するシーンがあったし、そういうことなのかなーと思った。
こういう、はっきりと結論は示さずに、後から考えさせる映画、好きです。
ー <警察に潜入したマフィア、ラウ(アンディ・ラウ)>と<マフィアに潜入した警察官ヤン(トニー・レオン)>を軸にした香港ノワールの最終章。-
■ウォン警視(アンソニー・ウォン)を殉職させ、サム(エリック・ツァン)に訣別の銃弾を見舞い、警察官として生きる道を選んだラウ。
自分の正体を見破ったヤンの死後、警察内に残る潜入マフィアたちを始末してきたラウは、エリート警官・ヨン(レオン・ライ)を潜入マフィアの1人と確信して追い詰めていくが、彼の精神状態は妄執にとらわれて徐々に壊れていく。
◆感想
・警察に潜入したマフィアのラウが、マフィアに潜入した警察官ヤンと自身を同一視していく過程が、哀しく描かれる作品である。
ー ヤンが生前良く口にしていた”明日が過ぎれば無事。”という言葉を、いつの間にかラウが口にしている・・。-
・ラウは保安部に来たヨンを潜入マフィアとして疑い、彼の身辺を調査するのであるが、それが徐々に、精神を病んだ彼の妄念である事が分かる劇の流れ。
ー 異様なまでに、ヨンを調査するラウの姿。彼の警察署内の個室に貼られた尋常でない写真・・。-
■亡き、ヤンが唯一安眠出来た精神科医リー(ケリー・チャン)の診察室の長いすでのみ、熟睡していた姿。
そして、2人は恋に落ちるが、時を越え妄念に捕らわれたラウがリーの部屋でヤンと共に目覚め、最後は一人で目覚めるシーン。
彼が、ヤンと自身を同一視していく過程が明らかになるシーンである。
■錯乱したラウがヨンの前で流したテープ。だが、そこに記録されていた音声。
そして、”善人になりたい”と叫びながら銃を乱射し、一発がヨンの額を貫く。それに被るヤンの死に様。
ラウは自身の精神が崩壊していた事を悟り、自身の顎を銃で撃つのである。
<ラストが、又、哀しい。
車椅子生活で脳に障害を負ったラウの生きた屍のような姿。そして表れる様々な妄念。
そして、ヤンの墓碑の横に建てられたヤンとラウと警察学校で同期だった、ヨンの墓碑。
”こんな輩が、無間地獄に落ちるのである。”というラストの言葉が哀し過ぎる作品である。>