17歳の高校生ルース・エドガーの知られざる内面に迫り、人間の謎めいた本質とアメリカの現実に鋭く切り込んだサスペンスフルなヒューマンドラマ。バージニア州アーリントンで白人の養父母と暮らす黒人の少年ルース。アフリカの戦火の国で生まれた過酷なハンデを克服した彼は、文武両道に秀で、様々なルーツを持つ生徒たちの誰からも慕われている。模範的な若者として称賛されるルースだったが、ある課題のレポートをきっかけに、同じアフリカ系の女性教師ウィルソンと対立するように。ルースが危険な思想に染まっているのではというウィルソンの疑惑は、ルースの養父母にも疑念を生じさせていく。「イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.が主演を務め、教師ウィルソンを「ドリーム」のオクタビア・スペンサー、養父母をティム・ロスとナオミ・ワッツがそれぞれ演じる。監督は「クローバーフィールド・パラドックス」のジュリアス・オナー。
ルース・エドガー評論(20)
高校を代表する優等生となった彼の中に鬱積した教師や学校に対する思いが悪意ある計画を生んだ。教師や親との心理戦をドキドキしながら見守った。
ここに過ちを犯す二人の女性がいた。ルークを疑い対峙する教師(オクタビア・スペンサー)、迷いながらもルークを守ろうとする養母(ナオミ・ワッツ)。強く正しい女性像をも演じる名優たちだからこそ、このダメダメぶりも府に落ちたのだろう。
この作品にはブラックやイエローに対する差別や格差社会に対するどうしようもない憤りがあった。鈍い感触が残った。
久々に映画を見ながら狼狽した。BLM運動と直結して見えたのは当然だが、それ以上に、いかに自分の暮らしがステレオタイプに溢れているか、それこそ普段見慣れた映画もまた「このキャラクターはこんなセリフは言わないはず」とか様々な固定観念に満ちた産物であるのを痛感させられたからだ。この難しい問題提起をあえてアフリカン・アメリカンどうしのやりとりであぶり出していく様が極めてスリリング。
幾つもの層から成る演技を見せたハリソンJRも素晴らしいが、対峙するスペンサー(役名は“ハリエット”)も抜群の凄みただよう。そんな二人が「この国は人々を箱に入れて分類する」とアメリカについて語る場面。そういえば本作には幾度となくロッカーが登場していたことにハッとさせられた。
感じ方、捉え方は決して画一的ではない。鑑賞することがゴールではなく、むしろ何度も見て議論を深め、自分に見えていない部分に光を注ぎたくなる一作だ。
おそらくルースはとても感受性が強く尚且つ自分の感情をあまり表に出さない子で、それが彼がアメリカで生きていくすべだったんだろうと思います。
最後にカメラに向かってくるシーンはそれらの感情全てが凝縮して今にも爆発しそうで鳥肌が立ちました。
黒人でも、名誉黒人みたいや扱いをされる人もいる。
肌の色だけがテーマではない。
戦争、偏見と自由、理解と束縛、愛と不信…
人種、親子、夫婦、友達、教師と生徒、上司と部下…
社会と個人…
現代社会の問題をルース・エドガーを通して描写している。
単純に、ルースが幸せになる事を願う者と、ルースを利用して社会的地位を得ようとする者の駆け引き、それ以外にも様々な視点で観れる作品だ。
一人でも多くの人が、この作品を観る事で、今後の社会は変化していくのではないだろうか。
高校生は必見の作品だ。
あからさまなのに揺らぐのは、エドガーが自信に満ち溢れてるだけじゃないだろう。
日本における外国人から感じるマイノリティの強さと考えるのは短絡的だろうか?
いずれにしても、エドガーの母親同様にあなたを信じるわ。そう思ってしまったのは確かだったりする。