香港を舞台に若者たちのすれ違う恋模様をスタイリッシュに描き、ウォン・カーウァイ監督の名を一躍世界に知らしめた群像ラブストーリー。エイプリルフールに失恋した刑事223号は、振られた日から1カ月後の自分の誕生日までパイナップルの缶詰を毎日買い続けている。恋人を忘れるため、その夜出会った女に恋をしようと決めた彼は、偶然入ったバーで金髪にサングラスの女と出会う。一方、ハンバーガーショップの店員フェイは、店の常連である刑事633号あての手紙を店主から託される。それは刑事633号の元恋人からの手紙で、彼の部屋の鍵が同封されていた。彼に淡い恋心を抱くフェイは、その鍵を使って部屋に忍び込むが……。刑事223号を金城武、刑事633号をトニー・レオンが演じる。第14回香港電影金像奨で最優秀作品賞など3部門を受賞した。
恋する惑星評論(20)
2020年に見ると、この2本の映画と、出てくる人物たちの自由さが眩しく見える。中国の同化政策に対し闘いが続く香港で、いやさまざまな問題が立て続けに起こり未来に悲観的であるしかない世界のどこでも、こんな映画をつくることはできない。
決して裕福ではないけど、みな食べることに困っておらず、揺るぎないものを持っていて、自由に振る舞い、恋をする。この楽観的な世界が恋しい。もちろん、それは時代関係なく、この映画ならではの特殊な重力なのかもしれないし、映画には香港返還のメタファーが色々ちりばめられているのだろうけれども。
観ていてとても幸福な時間だった。
賞味期限て、男は女々しいもんだねえ。考え方は面白いけど。
そして当時は、フェイ・ウォンの無鉄砲さにハラハラ、イライラして好きになれなかった。ツンデレで。
それが今みると どうだ。その若さのほとばしりがまぶしすぎる。開放感。フリーダム。飛行機に乗ってどこへでも行ける。
前半とは対照的。無計画な男。計画性のある女。
蛇足だけど、クランベリーズの楽曲だと思ってたらフェイ・ウォンの歌なのね。夢中人。さらにFFの'eyes on me'の歌姫になってたと知って、ひっくり返った。
一方、警官の”識別番号663号”(トニー・レオン)は恋人だったスチュワーデスと擦れ違いが続き・・、223号の行きつけの店でもあった軽食店の新人フェイ(フェイ・ウォン)と出会い・・。-
◆二組の男女の恋愛模様を当時”スタイリッシュ”に描いた作品。
・5月1日が賞味期限のパイン缶詰を30個食べる223号の姿
・失恋の痛手を癒すために”余分な水分を蒸発させる”ためにジョギングする男の姿
-どう見ても、ジョギングではなく全力疾走なのだが・・-
・663号と、且つての恋人である、スチュワーデスとの絡みのシーン幾つか
・フェイが663号の部屋の鍵を手に入れ、663号の知らない間に部屋に入り、イロイロとするシーン。
・663号が漸く、フェイの気持ちに気付き、デートに誘う。
待ち合わせは”勿論”「カリフォルニア」と言う名前の店。だが、彼女は現れない・・。代わりに軽食店の店長が現れ、663号にフェイの手紙を渡す。中には、カリフォルニア行きへの一年後の搭乗券。
そして、一年後、何故かスチュワーデスの服装をしているフェイが且つて働いていた軽食店に現れると、そこには663号が店長として働いていた・・。
<年代的に、この作品は初めて”TV”で観た。
何となく、ミニシアターで1994年当時に今作品を観ていたら、感想が変わった気がする。
が、2020年にTVで”初めて”観ると、スタイリッシュな感は薄れ、”ミニシアターでヒットした作品で年月が過ぎてもオモシロイと思える映画とは少ないのかもしれないなあ・・”と思ってしまった作品。>