METライブビューイング2023-24 ヴェルディ《ナブッコ》
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02月23日 上映
スポットライトを当ててくれ!
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コットンテール
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03月01日 上映
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祈り 幻に長崎を想う刻(とき)評論(8)
それに纏わる話もあるにはあるけれど、パンスケ達とのいざこざや甲斐性無しなヤクザとの因縁話とか、原爆症と言わるけれど病院に行かない旦那との話に頭でっかちな学生活動家との話等々、方向性の異なるドラマばかりをみせられる。
被爆した市井の人々の心情をみせる話ではあるけれどちょっとエンタメ色が強いし、上っ面をなぞった様な感じがして、響くものはなかった。
生きる為には売春婦もヤクザもお互いを利用し合っていたし、左翼の人間が原爆被害者を自らの影響下に置こうとするのも自然な成り行きであった時代。こういった微妙なバランスは崩れ易くヤクザの間では抗争を生み、被害者の信仰が影響力行使に邪魔になればキリスト教への偏見を利用して弾圧に転じる左翼の姿は現代にも通じる人間集団が起こす宿痾の様に感じさせられた。
実際、日本社会では「原爆症」と「キリスト教」は戦争に負けた傷跡と弾圧の過去というある種「見たくないモノ」と定義つけられているような気がする。この映画は自分とは異なる者への差別と偏見が社会のいたるところに潜んでいることを示唆している。
原作を知る人達からは物足りないとのネット上の評価はあるものの、おそらく切り捨てられたフィルムを繋ぎ合わせればもう一つの映画が出来そうなボリュームの内容を110分という尺の中で表現する難しさを感じさせられた気がします。
松村克弥監督の前作「ある町の高い煙突」では井出麻渡と渡辺大の役割分担を今回の「祈り」では黒谷友香と高島礼子に演じさせ、「尖った部分」を「まろやかな部分」が抱えるように場面を回す手法が取られていた。前作は事実の積み重ねを理路整然と構成されていたのに対して今回は信仰という大変微妙なテーマを後半部分でギアを上げてファンタジー風に描いていたのは、松村監督に引き出しの多さが感じられました。