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007 スカイフォール評論(20)
まだまだジェームズボンドらしさに戻りきってはいませんが、ここ数作の「ボンドではない感」はかなり払拭されてます。
最近、妙に話が複雑でわかりにくかったのが今回は明快です。
世界各地の観光フィルム的なシーンもほどよい加減です。
アクションと人物描写のバランスが良く、ボンドの苦悩が抑えめながらドラマとして成立しているのは、やはりメンデス選手です。
ノーカントリー先輩、さすがの怪演でした。
冒頭シーンからクレーンを渡る列車シーンなど迫力あるアクション満載だったね。軍艦島をイメージした廃墟島のシーンもあったが、何故スカイフォールと言う地へ行ったのかはちょっと不可解だったな。
一つの事に対して色々と犠牲にしちゃうMI6、一般市民も街も破壊を厭わない。えーえー文化の違い。ゴジラ相手でも一般市民を重んじる日本映画とは違うね。
サム・メンデス監督による2012年製作のアメリカ映画。
原題:Skyfall、配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
最初のイスタンブールでの闘争劇〜対決シーンが素晴らしい出来。屋根の上をバイクで疾走する、列車が切り離れる瞬間に工事用車両利用して乗り込みを図る等、アクションのアイデアが実に素晴らしい。そして、列車の上でボンド相手に組み合う敵を射撃するが、河に落下したのはボンドで、水中に落ち、そこからタイトルバックに繋がっていく流れは、バックで流れる主題歌も含めて、とても美しく官能的でもあった。
光の海の様な上海のビル群の夜景と絡めての撃ち合いも、実に絵になっていた。冒頭のシーンでのヒビが入った窓ガラスをぶち割っての派手な運転から、ボンドを助ける援護射撃、ボンドのカミソリによる髭剃り等、全編を通して、新人工作員イヴを演じた黒人女優のナオミ・ハリスが知的で妖艶でカッコ良く、ファンになってしまった。
最後の方は、スコットランドのボンドの生家での戦いであった。隠れ通路等も使い、色々と考えられていたが、折角の設定なれど斬新性では今一つの印象であった。
官僚的に見えたレイフ・ファインズが意外にも銃撃戦が得意で有ることが示されたが、M
がジュディ・デンチから彼女の死により、レイフ・ファインズに世代交代することになった。また、Qも若造ベン・ウィショーに変わり、かなり年寄のボンドだが、彼が若いイヴやQと上手く協力して闘っていくことも、映画のテーマとなっていた気がした。
製作はマイケル・G・ウィルソン、バーバラ・ブロッコリ、製作総指揮カラム・マクドゥガル。脚本ニール・パービス、ロバート・ウェイド、ジョン・ローガン、撮影ロジャー・ディーキンス、美術デニス・ガスナー、衣装ジャイニー・テマイム、編集スチュアート・ベアード、音楽トーマス・ニューマン、主題歌アデル。
出演はダニエル・クレイグ(ジェームズ・ボンド)、ジュディ・デンチ(M)、ハビエル・バルデム(シルヴァ)、レイフ・ファインズ(ギャレス・マロリー)、ナオミ・ハリス(イヴ)、ベレニス・マーロウ(セヴリン)、ベン・ウィショー(Q)ベン、アルバート・フィニー(キンケイド)、ロリー・キニア(タナー)、オーラ・ラパス(パトリス)。