台湾の国会を舞台に巻き起こるゾンビパニックを、プロレス技を取り入れたハイテンションなアクション描写で描いたホラーコメディ。台湾の国会・立法院では、化学工場の建設を巡って反対派と賛成派の審議が紛糾していた。そんな中、壇上に立った台湾総統が突如としてゾンビ化。ゾンビウイルスは瞬く間に拡散し、議場は地獄絵図と化す。武術使いの女性立法委員インインと彼女に片思いする新米委員ヨウウェイは、この地獄を生き延びるべく壮絶な戦いに身を投じていく。出演は「悲しみより、もっと悲しい物語」のハー・ハオチェン、「台北24時」のメーガン・ライ。「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」(2021年10月29日~11月11日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか)上映作品。
ゾンビ・プレジデント評論(2)
台湾の立法院といえば、議員同士が議長席前で掴み合いなんてテレビでもたまに見かけるけど、そんなのは序の口で実際の乱闘というと時には議長めがけて水風船が乱れ飛んだり、腐った豚肉を投げたりとボルテージの上がりかたは半端ではない!
長編デビュー作のイ―ファン監督による『ゾンビ・プレジデント』は、そんな立法院の現実の嫌気や議員が全身赤で統一した背広を着る自己顕示欲の強さなどをパロった上に、一部に劇画調のアニメを織り交ぜて彼らの強烈な個性を描きながらフリスキーなスーパー暴力描写が随所に散りばめられている。
言うなればメガトン級の "torture porn" ことスプラッター・ゴア・ゴア・ゾンビフィルムなのだ!!
議長がゾンビになると直ぐにコングがカ~ン🛎️!と鳴らないけれど議事堂が、リングと化し、インインとヨウウェイ、ヨウウェイの後釜の警備員、インインの屁理屈・頑固オヤジ、そのオヤジの彼女にして頑固オヤジに「入ってんの?」なんてオヤジの粗チンを笑い、余命がないのに淫乱すぎるババア(失礼)がダーティー・ペアーとなり、極悪非道悪役レスラー・ゾンビ軍団と生死をかけた一戦を交える。しかも行政院農疾會(Shennong Force)なんて変態集団も加わり、スリリングな演出の時限爆弾なんてその時を刻むカウントが『24 -TWENTY FOUR-』って、あのね~ぇ、ふざけすぎている!?
ゾンビとの対戦はもちろんプロレス技をどこまで知っているかのカタログ状態となり、血しぶきが舞い、鮮血によるゴアなスプラッター・フィルムへ武装強化している...
ロメロの"トリフィド時代"系の代名詞、人の内蔵をムシャムシャと食べるワンテンポ遅れるくだらない、いつもの描写は影を潜め、ジッピー過ぎるほどブリスクな動きの速いアクションの中のアクション映画にテンションが上がりっぱなしになってしまう⁉
本作は、くだらないジョークも多く、最初はとっつきにくかったけれど結構、女優さんを含めてアクションを真剣に見せている役者魂がそれを上回るほどでイメージがすこぶる良い印象だけが残っている。
「シッチェス映画祭ファンタスティック・セレクション2021」の作品を一通り全部鑑賞したけど、個人的なことを言わせてもらうなら、すべての映画に共通して個性が際立っていて、一つとして、ありふれたホラーではなく、見ごたえはあったし、映画祭で評価が高くても実際は見るも無残な映画が多い過去によくあるなか、すべての映画において楽しめたと言っておきたい。
covid-19禍を早く脱したい気持ちを添えて...
新型狂犬病ウイルスを生み出すと噂される化学工場が建設を巡り議会が紛糾し巻き起こるストーリー。
取りあえず騒動で自認を余儀なくされたインインと、そこで脚光を浴びた警備員ヨウウェイの関係性や人物紹介から始まり、早々にゾンビ!!
ベタベタでコミカルな展開ではあるけれど、ちょっと議場のシーン長過ぎませんか…。
この感じでラストまではキツいな~と思い始めたら、なんと反撃開始ですか?
その後もあの手この手で愉しくはあったけど、ギリギリ何とかグダる前に持ちこたえた感じで大満足とはいかなかったかな。