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偽りの隣人 ある諜報員の告白評論(11)
軍事政権下の韓国で民主化を求めて軟禁された政治家と彼を隣家で監視する諜報員の正義を描く社会派サスペンスドラマ。
諜報員は民主化を掲げる隣人をいわゆる敵と捉え上司や国の為に監視活動をはじめていくわけですが、政治家の人柄の大きさや温かさに触れ、軽いご近所付き合いの親しさは徐々に信頼関係へと発展していく。育まれていく二人の友情はギスギスした時代背景の波に飲まれず、観ていてとても心地がいい。
"社会派"と名がつくだけあって予告編を見る限りでは硬派なサスペンスをイメージした方も多いのではないだろうか。しかし、その予想とは裏腹に意外にもコメディ色の強い本作。
監視国家、盗聴、捏造、といった人権侵害の悪質な暗い部分をコミカルな脚本でカバーしている構成には驚き、かと思えば、軍事政権と民主化、更には学生運動といった一気に張りつめた空気の押し寄せるシリアスな展開からも目が離せない。この緩急をつけた脚本構成の面白さは韓国映画のレベルの高さと言えるのではないでしょうか。