有毒廃棄物を不当投棄する巨大企業の陰謀に挑む、環境保護調査官の活躍を描いた西部劇調のサスペンス・アクション。「グリマーマン」のスティーヴン・セガールが製作・主演を手掛け、今回は得意のマーシャル・アーツを生かしたアクション・シーンのほか、挿入曲の作曲とギターの腕前も披露している。日本公開にあたり、「沈黙」シリーズ完結篇と銘打たれたが、「沈黙の戦艦」と「暴走特急」を除いて個々の作品の物語や登場人物に関連はない。監督は『ER/緊急救命室』などを手掛けたTV界のベテランで、これが初の劇場用映画のフェリックス・エンリケス・アルカラ。原案・製作総指揮は「理由」のジェブ・スチュアート、脚本はスチュアートとTV『オン・ジ・エアー』のフィリップ・モートンの共同。製作はセガールとパートナーのジュリアス・R・ナッソ。撮影は「メジャーリーグ2」のトム・ホートン、音楽は「ザ・ロック」のニック・グレニー=スミス、美術は「ジョーズ」「未知との遭遇」のジョー・アルヴェス、編集は「沈黙の戦艦」「沈黙の要塞」のロバート・A・フェレッティ、衣裳は「フリントストーン/モダン石器時代」のロザンナ・ノートン。共演は「バッドボーイズ」のマーグ・ヘルゲンバーガー、「潜望鏡を上げろ」のハリー・ディーン・スタントン、「ザ・ターゲット」のスティーヴン・ラング、「天国の門」のクリス・クリストファーソン、ロックグループ〈ザ・バンド〉のドラマーで、「フィーリング・ミネソタ」などの出演作もあるリヴォン・ヘルムほか。また音楽好きのセガールらしく、マーク・コリー、ランディ・トラヴィス、トラヴィス・トリット、そして伝説的な歌手ロレッタ・リンの双子の娘パッツィとペギーらが出演している。
沈黙の断崖評論(5)
懲りないエコ・セガール第二弾。
製作費は『沈黙の要塞』に匹敵するのに半分もスケール感無し。
これがコケたのがメジャースターとしてのセガールにとって致命傷になった。
さておき、カントリー衣装をまとったセガールは温泉に入る猿のように心地良さげだ。そのせいか恋もするし、悪人にも温情を掛ける。
出来は緩い。『アバター』『ドント・ブリーズ』のスティーヴン・ラングとの対決もあるが、これが何とも肩透かし。非常に勿体ない。
爺さん牧師がセガールへ協力すると約束するシーン、ハリー・ディーン・スタントンが素性をセガールへ明かすシーンは、例えどれだけ微力だろうと正しい事をしたいという、ものすっごく尊敬できる正義感の象徴だった。てっきりスティーブン・ラングの兄貴もそっちかなと思ってたのに、こっちは只の外道野郎だったのがまあ残念だわw
しっかしまあセガール相手じゃ、デッカイ不正も塵同然やなw敵さんにそれを学べる知能がありゃまだマシだったが、いかんせん極めつけのバカなもんで可哀想や。あ、でも息子の方はマシな方になってくれたね。ボスを射殺しなかったのも良かった。殺しちゃ終わりだもんね。
ていうわけでセガール映画久しぶりの大当たり。『イントゥ・ザ・サン』の苦痛はこれでチャラになったし安堵。
丁々発止なセリフのやりとりが観ていて面白かったし、あの武骨な指でギターまで弾いてしまいついには女性と恋愛関係まで…どうしたセガール(笑)
セガール映画の中ではなかなか良い出来だと思うが‘断崖’は一度しか映らない(笑)
ストーリー: 60
キャスト: 65
演出: 65
ビジュアル: 70
音楽: 70
いつものごとく、セガールが完全悪に立ち向かうというありふれた物語である。だが今回は閉鎖的な田舎町に一人で潜入するというちょっと地味目な展開になっていて、「俺の連絡一つで300人の捜査官が駆けつける」などと脅してみたところで結局応援もなく一人で孤独に立ち向かわなければならない。たいした戦力にもならないが、協力者も地道に現地調達という地味さである。
しかし良く言うならば権力者に牛耳られているアメリカの田舎町の閉鎖性や貧困ぶりやらも描かれて、古い感じのカントリー音楽とあいまってこじんまりとまとまっていた。派手な銃撃戦もないが、そのぶんセガールが体をはって得意の合気道を見せてくれた。