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ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶評論(13)
地上戦が行われたこと
たくさんの鉄砲玉が降り注いだこと
ガマが暑くてジメジメしていること
泣く赤ちゃんを黙らせろと言われること
みんなで死んだこと
どれも知っていることだけど、やっぱりわからない。
もちろん誇張しているわけでもないだろうし、本当のことだと思うけど、現実にあったとは思えない。
悲しいとか、ひどいとかそんな感情にもなれない。
大好きな石垣島と戦争は結びつかない。
でも学び続けなくちゃいけないと思う。
もっと自分の中に、日本人としての戦争を入れなくちゃいけない。
考えて、想像して、重たい黒いモヤモヤを溜めておかなくちゃいけないと思う。
リアルな声と当時の映像、そして今の沖縄の街をしっかりと見せてくれる作品でした。
大切な人を大切にできなくしちゃうから戦争はダメ。
理由はよくわからないけど、とにかく戦争はダメ。
隣人への暴力。
人を傷つける言葉。
とにかく全部ダメ。
私の周りから、
そばにいる人が笑って安心できるように
自分をしっかりもって、前を見て、笑顔でいようと思う。
まずは地上戦が開始される前に、大本営は沖縄を捨て石にするという覚悟だった事実。まぁ、これはよく知られていることでしたが、そのあとに、学童疎開輸送を行っていた対馬丸が米潜水艦の魚雷を受けて沈没、タイタニッククラスの1484人が犠牲となった。この史実を生き残った平良啓子さんによるインタビューで語り、その生々しさに胸が引き裂かれるような思いになりました。
防空壕については知花昌一さんによって詳しく語られ、現存する二つの壕を映し出す。特に母親が娘の首に包丁を刺したという話は痛々しい。また、渡嘉敷島での集団自決のエピソードも随分研究されていることがわかる。手榴弾を2個持たされて、1個は敵に投げ、ダメだったら自決用にと・・・
また、防空壕でのエピソードでは敵の捕虜となってもいいから、生き延びよという訴えも感じられます。鬼畜米英という言葉で洗脳された民間人は、生きて辱めをうけるなら自殺を選ぶよう教育され、天皇陛下のために命を捧げるよう教えられた。米兵が日本人の傷を手当している映像が物語っているのですが、逆に日本兵に殺された民間人も多い事実・・・友軍というのは嘘だったのか!
映像やエピソードについても今まで知らなかったことも多かったし、生々しい死体も初めて見る写真が多かった。沖縄戦についてはNHKドキュメンタリーでもかなり見てきたつもりだが、作り手や証言者が違うと、また新たな発見がある。直接体験した証言者たちも高齢のため、後世に悲劇を伝えていくために次世代の人に観てもらいたい作品でした。
沖縄戦はなかったかもしれない。
ソビエトが対日参戦してなかったかもしれない。
この戦争の終結はもっと違ったものになっていたかもしれない。
本作では沖縄戦の当事者だけではなく、その親族や沖縄在住の研究者など数多くのインタビューが盛り込まれ、しかも一人ひとりが時間をとってしっかりと見解を述べている。
沖縄戦において、物量で圧倒的に劣後する日本軍は米軍に勝つつもりは毛頭ない。少しでも本土決戦まで時間をつくることが目的であり、住民もその無謀な戦略(「本土決戦までの捨て石」作戦)の巻き添えになっていく。
沖縄戦を総括するうえで、考えるべきイシューはいくつかあるが、本作では「なぜこれだけの被害を出すことになってしまったのか」について総括を試みている。
ちなみにNHKの「沖縄戦 全記録」では、その答えとして、「住民と軍の混在化」をあげている。避難壕や撤退活動において、軍民一体の行動が米軍にとって非軍人の区別がつきにくく、民間人を巻き込んだ掃討作戦(無差別攻撃)に発展していったことをあげている。
一方、本作ではインタビューを受けた人々が盛んに強調していたのが、「皇民化教育」それである。お国のため、天皇陛下のために最後の一人まで「鬼畜米英」と戦い、生きて虜囚の辱を受けることを潔しとしないことを徹底的に叩き込まれる。その思想統制が徹底されていたことは、「あの時は全く疑っていなかった」、と当事者の発言からはっきり読み取られる。
「なぜそのとき疑問に思わなかったのか?」と今なら冷静にみれるかもしれないが、大衆もメディアも日本の大東亜新秩序の熱に取り憑かれ、個人々が置かれている状況をきちんと把握できることができなくなってしまっていたのではないかと思う。
「極度の不安は、明快で強いイデオロギーを受け入れてやすいメンタリティを生む」と20世紀の政治哲学者のHannah Arendtは警告している。
それは、現代の私たちにとっても決して無縁の話ではない。
本当は小学生にも見て欲しいけど、さすがにキツいか。
戦争ゲームなんかでハシャいでんじゃねぇよ。