ザ・ドライバー

けど、刑事との駆け引き、ラストは中々面白かった。

補足・凄く主人公の雰囲気をライアン・ゴスリングが映画ドライヴで真似していたのではと感じました。

ちゃんと調べたわけじゃないが、体感的には映画の半分がカーチェイス！！しかも、台詞も少なく、もくもくとカーチェイス‼︎ 更にCGとか無しで生でカーチェイス‼︎‼︎‼︎ これはもう、興奮するしかない‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

総合：85点
ストーリー： 85
キャスト： 75
演出： 85
ビジュアル： 80
音楽： 70

自分の仕事に誇りをもったプロの犯罪ドライバーとそれを追う刑事、それとは関係ないところで進んだ物語が彼らに与える結末が面白い。カーアクションもよい。

男臭い映画ばかりを撮っていたW・ヒル監督に夢中だった時期があった。
余りの過激さゆえに、全米では上映禁止の映画館が続出したと言う『ウォリアーズ』や、ロックロールの寓話である『ストリート・オブ・ファイヤー』や、Ｅ・マーフィーを一躍スターダムに押し上げた『４８時間』等々。
その第一歩がこの『ザ・ドライバー』でした。
今、見返してみると『ある愛の詩』でブレイクしたＲ・オニールが、ミス・キャストだったのでは！？と思えるほど、このクールな敏腕ドライバー役にハマっていない。
本人はヒルとタッグを組んでイメチェンを計りたかったのだろうけど、必要以上に開けすぎているシャツの胸元が、ワイルドらしさを強調し過ぎていて苦笑い。
その反面、謎めいた女ギャンブラーを演じた若い頃のイザベル・アジャーニが、ほんま溜め息が出るぐらい美しかった。
ドライバー、刑事、ギャンブラーと登場人物たちに名前のない、風変わりなクライム・サスペンスだったなあ。

シンプルながらもとびきりの醍醐味を兼ね備えたハードボイルド・カー・アクションのカリスマ。多くの映画はキャラや設定に様々な要素を加味していくものだが、本作は全くもって真逆の存在だ。むしろ削いでいく。名前もいらない。設定も、そしてセリフだって超シンプル。それでいい。そうすることで逆にあらゆる細部の魅力が増し、キャラクターの輝きもかえって研ぎ澄まされることとなる。とりわけ冒頭数分間、全くセリフがなく、状況だけが淡々と描かれてゆく様のなんとクールな事か。そして映像だけで全ての背景を的確に伝える映像編集はさすがである。

夜のしじまを、研ぎ澄まされたドライブ・テクニック、アクション描写が突き破る。リアリスティックな範疇で一体どれだけの事が成し遂げられるのか。この部分を突き詰め、計算しているからこそ、全くの齟齬が見られない。この遺伝子が『ドライヴ』や『ベイビー・ドライバー』にも流れていることは確実だ。