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男はつらいよ 寅次郎心の旅路評論(8)
#男はつらいよ寅次郎心の旅路
1989年製作、シリーズ第41作目
海外ロケ、しかもウィーン!
ウィーン市長が機内で寅さんを見て感銘して招致したらしい。初の海外ロケなのかな?
#竹下景子 さんがマドンナのようですが、恋バナがあまりなかったのが少し残念です。竹下さんマドンナ3回目!
平成に入って初めての男はつらいよ。
国際恋愛や働く女性の葛藤が描かれています。
時代が変わっても、国が変わっても変わらない寅さん。
時代に捨てられたのではなく、時代を捨てた寅さんがかっこいいです。
シリーズ41作目。
平成最初の寅さん。
今作もOPの夢はナシ。旅先で風邪を引いた寅さんの元に、さくらから手紙が届く。
みちのくのローカル線に乗っていたら、緊急停車。
一人の中年男が発作的に自殺しようとしたのだ。
サラリーマンの坂口。会社勤めに疲れ、所謂うつ病。
こういう人物の面倒をついつい引き受けてしまう寅さん。
自由奔放で大らかな寅さんにすっかり懐く坂口。
何処か行きたい所はあるかと訪ねてみたら、一度行ってみたい所があると言う坂口。
一緒に行ってやると安請け合いしたけれど、そこは何と…
ウィーン!
後日くるまやに旅行会社の人が訪ねて来たりして大わらわ。
さくらたちの反対もあって出発当日になって行くのを断ろうとしたけど、
結局色々あって、
やって来ました、まさかの本当にウィーン!
アメリカ人がゲストで柴又に来た事はあるけど、シリーズ初の海外が舞台。
日本中あちこち旅して来た寅さん、遂に海外へ!
何故今回ウィーンが舞台になったかと言うと、寅さんを見てファンになったウィーン市長の招待を受けての事だとか。
それに応えるかのように、ウィーンの美しい風景は言うまでもなく見所。
数々の観光地、名所、かの有名なドナウ川(勿論『2001年宇宙の旅』でも知られるあの名曲も)…憧れるね。
しかし寅さん、せっかくウィーンに来たのに、文化や芸術に全く興味ナシ。呆れる坂口。
ウィーン市街をいつもの格好と下駄で歩き、ドナウ川を江戸川に例え、神父さんを御前様と呼ぶ。
ウィーンに行っても変わらぬ寅さん。そのギャップが笑える。
そして、美女に惚れる。
坂口とはぐれ、迷子になった所を、ウィーンで日本人観光客のガイドをしている日本人女性、久美子と知り合う。
すっかり意気投合。久美子の事情を聞くと、日本で会社や男関係でうんざりし、衝動的にウィーンへ。苦労もあったが、ウィーンで長年暮らしている日本人マダムに助けられたりして、もう8年。
竹下景子が3度目のマドンナ。3度マドンナを演じた中で、(個人的に)本作が一番いい女に感じる。
久美子と親しい日本人マダムに、淡路恵子。長年海外で暮らしているマダム感はハマり役。このマダムがウィーンに永住を決めた理由もカッコいい。
寅さんに振り回される坂口役に、柄本明。コミカル演技は言わずもがな。
竹下と淡路は『知床慕情』、柄本は『あじさいの恋』、今回のメインゲストは以前にも出演経験あって安定感。
海外舞台は新味だが、話自体はいつもの寅さん。
久美子にはウィーンに恋人が。別れ話が持ち上がり、久美子は寅さんと日本に帰る決意をするが、空港にその恋人が追い掛けて来て…と、フラれる。
所変われど、中身は変わらない事こそ寅さん。
ウィーンでもスタイルは貫き通し、久美子は寅さんと会って日本の故郷を思い出す。
いや、より一層、日本人の心や故郷をしみじみ感じさせてくれる。
柴又に帰って来て土産話をするが、いつもの日本の旅と変わらない。
結局、何処行っても出会いや人情は同じ…?
と言うか、そもそも本当にウィーンに行ったのか…?
ひょっとしたら、夢ではなかったのか…?
そんな時、寅さんの口から一言。
「ダンケ!」
やっぱり、ウィーンに行ったんだ!
このラストもユニーク。
サブエピソードながら、本作では大学受験に失敗し浪人生になっているなど、描写が毎回印象的になって来ている満男。
次作からはいよいよ、満男がメインの話に!
劇場公開日 1989年8月5日
1989年製作/日本
配給:松竹
山田洋次監督87才
渥美清61才
倍賞千恵子48才
竹下景子36才
なぜだか舞台はオーストリアのウィーン。
寅さんは現地で
美人観光ガイド竹下景子に惚れてしまう。
その他の出演者は
淡路恵子
笹野高史
柄本明
などいつも同じ人がいろいろな役を演じる。
キャスティングがめんどくさいのかな
などと邪推してしまうほど同じ顔ぶれが並ぶ。
男はつらいよのシリーズも
この頃になると
山田洋次監督が何を描きたいのかなあ
と思ってしまう。
満足度は5点満点で2点☆☆です。
寅がウィーンに行く。しかし日本人としか交流がなく、結局国内とあまり変わらないのではないだろうか。竹下景子に「おばさん」と呼ばれていた淡路恵子がかっこよかった。寅がなぜ、あんなに強く竹下景子に帰国を勧めたのか、意味がよく分からない。本人なりに考えがあって、ウィーンで暮らしを立てているだろうし、ひどくお節介に見える。
柄本明が寅を慕っていたのに、ウィーンに行ったら途端に厄介者扱いしていて、正直だし露骨だ。