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ガメラ2 レギオン襲来評論(15)
ガメラシリーズ第10作。
平成ガメラ三部作第2部。
第17回日本SF大賞受賞作。
塚口サンサン劇場で開催された「平成ガメラ三部作 重低音ウーハー一挙上映会」で初スクリーン鑑賞。
レギオンは、生態系への侵略と云う斬新な行動目的を持った宇宙生命体でした。宇宙に種子を飛ばし、辿り着いた星の環境や生態系を喰い潰してテラ・フォーミングし、さらにまた別の星へと巣分かれして繁殖を繰り返していく―。
斬新なのは目的だけじゃない。昆虫を模した鋭角的で戦闘的なデザイン。巨大レギオンのガメラをも凌駕する大きさ。展開した大顎から発射される破壊力抜群のマイクロ波シェル。キャラクターの魅力の豊かさも尋常じゃありませんでした。
渡良瀬たちがレギオンの生態を解明していくシークエンスも秀逸。奥底まで考え抜かれた設定に舌を巻きました。ここまで構築された怪獣の設定が未だかつてあったでしょうか?
地球の守護神たるガメラに、「ギリギリ最後の選択」をさせたほどの強敵でした。その選択が具体的にどう云うものだったのかは、次作「邪神<イリス>覚醒」で明かされるのですが、よもやあんなことになるだなんてなぁ…(絶句)
――
宇宙からのかつて無い脅威に自衛隊が総力戦を挑みました。これまでに解明された生態から東京への進行が予想されるレギオンに対し、全三次の防衛ラインを展開。勇ましい音楽と共に臨戦態勢を整えるシーンが胸熱でした。
ゴジラシリーズみたいな超兵器は一切出て来ないので、現実の自衛隊が所有している兵器でレギオンと戦いを繰り広げました。戦車のキャタピラ音と対空砲の弾幕にたぎる! そして、小林昭二の尊さよ…。おやっさん!(泣)
赤雪山麓付近に集結した戦車大隊の一斉放火が、レギオンとの最終戦争の火蓋を切りました。しかし、マイクロ波シェルの発射によって一瞬の内に壊滅! その圧倒的破壊力たるや凄まじい! 炎と夜のコントラストが目を引きました。
自衛隊も必死ですが、2度の巣分かれに失敗したレギオンの方も必死。互いに総力を傾注し、一進一退の攻防戦が繰り広げられました。何度観ても手に汗握りまくり!
自衛隊の必死の攻撃にも関わらず、レギオンの進行を阻止出来ない中、種子発射の大爆発に巻き込まれて仮死状態になっていたガメラが復活! 足利市を進撃するレギオンの元へ飛来しました。飛行形態から素早く変形して、着地の勢いのままプラズマ火球を連続発射する姿が無条件にカッコいい!
ガメラはリベンジマッチとばかりに果敢にレギオンに挑んでいくも、体格差があり過ぎて圧倒されるばかり…。進行を阻止するどころか徐々に追い詰められていくガメラ…絶体絶命!
最終防衛ライン突破へのタイムリミットが迫る中、ついに来たぜこの瞬間が! 師団長の名ゼリフ―「火力をレギオンの頭部に集中しガメラを援護せよ!」と共に、自衛隊がガメラと共同戦線を張ることに! なんて胸熱な展開なのか!
特筆すべき点は、そのときの攻撃でレギオンにかなりのダメージを与えることに成功したこと。ゴジラ映画の世界では怪獣に通常兵器の攻撃なんて効いた試しがありませんので、怪獣映画における自衛隊初の快挙ではないでしょうか? 拍手!
未知の宇宙生物に対して果敢に立ち向かっていく自衛隊員たちはとてもカッコ良く、小さい頃は「自衛隊に入りたい!」と本気で思っていたほど。どんなに絶望的な状況でも諦めない強さが描かれていて、心底憧れました。ガメラに向かって自衛隊員たちが敬礼するラストシーンは、涙無くしては観られない熱過ぎる名場面だなと改めて思いました。
※追記(2019/10/06)
デジタル・リマスター版DVDでは、テレビの音量を40くらいにしないと、まともに音が聴こえませんでした。
しかし、4Kデジタル修復版Blu-rayは格段に性能が向上しており、映像もキレイだったので感無量でした。
※追記(2021/01/24)
本作は、それぞれが己の正義を賭けて戦う“戦争映画”なんだと気づきました。レギオンは種としての繁殖のために、人類は外敵から自分たちの身を守るために、ガメラは地球の守護神としての役割を全うするために、命懸けで戦いました。
互いの生存を賭けた争いは生物としての本能に立ち返っているような原初的なものであり、それをここまでのエンターテインメントに仕上げた制作陣には頭が上がらない…。
※鑑賞記録
2019/05/03:DVD(デジタル・リマスター版)
2019/10/06:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2020/02/13:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
2020/03/28:Amazonプライム・ビデオ(#襲来祭 参加)
2020/12/06:Amazonプライム・ビデオ
2021/01/17:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
(オーディオ・コメンタリー)
2021/01/24:Blu-ray(4Kデジタル復元版)
特撮ものには全く興味がなかったのだが、ストーリーがなかなかのめりこめるもので、面白かった。
ガメラの良さは多分今だに分かっていないと思う。
しかし、食わず嫌いは治った。
楽しかった。
怪獣映画と侮るなかれ‼
今作は特撮耐性が無い人でも絶対に楽しめる作品ですよ‼
自衛隊のミサイルがレギオンの角を折るところでテンションが上がる。ガメラがあんまり強くないところがとてもいい。戦略が機能してロジックがあってスリルがある。なんとなく派手に戦いを繰り広げているだけのアクションとは次元が違う表現だ。人間ドラマもとても面白いし、自衛隊がかっこいい。
レギオンが当時の現代風であんまりかっこよくない。仙台を吹き飛ばす場面には度肝を抜かれた。