ロン・バーカーの小説を「二匹の流れ星」のエルネスト・ガスタルディとトニーノ・ヴァレリーが脚色、「さすらいの一匹狼」のトニーノ・ヴァレリーが監督したイタリア西部劇。撮影は「ローマの女」のエンツォ・セラフィン、音楽は「さらばアフリカ」のリズ・オルトラーニが担当している。出演は「南から来た用心棒」のジュリアーノ・ジェンマ、「夕陽のガンマン」のリー・バン・クリーフ、「野性の眼」のジョルジョ・ガルジュッロ、「続・夕陽のガンマン
地獄の決斗」アル・ムロック、ワルター・リラ、ルカス・アマンなど。テクニカラー、テクニスコープ。
怒りの荒野評論(2)
総合:70点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 70
音楽: 65
アメリカのかつての西部劇といえば、悪役がいてそれを癖があるが強い正義の味方が戦って苦労しながら打ち破り、最後には幸せになる。あるいは町の平和をもたらした主人公はまたどことへもなく去っていく。日本の時代劇と同じようなお決まりの単純な物語が多い。
これはイタリア映画だからだろうか、それほど単純ではない。主人公ジュリアーノ・ジェンマは不幸な環境から逃れようともがくなか、その彼の夢をかなえるきっかけとなる師匠格が現れる。だがその師匠は実は善人ではなく、ジェンマが幼いころ世話になった人や社会を壊していく。自分をひとり立ちさせてくれた師匠も恩人なのだが、それと殺し合いをしなければならない悲しさやそうなってしまった怒り・空しさが残る。
アメリカの西部劇とは一線をかしていて楽しめる。必ずしも最後にめでたしめでたしとはならないし、物語もこの時代の西部劇としては凝った作りとなっており、その部分は評価できる。
今回は字幕スーパーで見たのだが、劇中のサインボードなどは英語なのに登場人物がイタリア語を喋っているのがちょっとだけ変。やはりマカロニウエスタンである。