イギリスに統一国家を築いた伝説的人物アーサー王の波瀾の生涯を描く。製作総指揮はエドガー・F・グロスとロバート・A・アイゼンシュタイン、製作・監督は「エクソシスト2」のジョン・ブアマン。トーマス・マロリーの原作を基にロスポ・パレンバーグとジョン・ブアマンが脚色。撮影はアレックス・トムソン、音楽はトレバー・ジョーンズ、編集はジョン・マーリットが各々担当。出演はナイジェル・テリー、ヘレン・ミレン、ニコラス・クレー、シェリー・ランギ、ポール・ジョフリー、ニコル・ウィリアムソン、ロバート・アディ、ガブリエル・バーン、カトリーン・ブアマン、コリン・レッドグレーブなど。
エクスカリバー評論(2)
今回初めて見てみたら、これが昨年公開されたガイ・リッチー監督作とどっこい。
もっとこう、格調高い英雄譚かと思ったら、なかなかの珍品中世ファンタジー。
父王~アーサー生誕から始まり、エクスカリバーを引き抜き、やがて偉大な王へ。
導く魔法使いマーリン、忠誠を誓うランスロットら円卓の騎士、妻グエネビア。キャメロット城。
有名なエピソード、登場人物。波乱に満ちた生涯。その最期まで、アーサー王の物語が一通り描かれている。
自分のようにアーサー王伝説についてよく知らない者にとっては有難い作りなのかもしれないが、豊富なエピソードを詰め込み過ぎてダイジェスト的になって、結局イマイチよく分からぬというあるあるに。
また、太古の大昔から存在する聖剣、魔法、万物の精、魔力などのファンタジー要素が本作をエンタメにする所か、トンデモな作風に。
脚色や創作ばかり目立ち、アーサー王の真の姿が全く伝わって来ない。
スケールは充分、映像もファンタスティック。
それらは悪くないが、演出やテンポは決していいとは言い難い。時の経過も雑。
特に残念なのは、アクションの迫力や迫真さが決定的なまでに欠けている点。スケールは充分なのに、史劇スペクタクルの醍醐味もあったもんじゃない。
失笑してしまいそうなシーンも所々に。
エクスカリバーを引き抜くも、一旦元に戻し、また引き抜くシーンはコントかと思った。
グエネビアとランスロットの不貞は官能的(?)な全裸ラブシーン。
異父姉の魔力シーンは怪作の極み。
途中から迷走半端無い。
アーサー王を演じたナイジェル・テリーは最初はミスキャストと思ったが、徐々に様になってくる。
キャスト面でのお楽しみは、ヘレン・ミレン、ガブリエル・バーン、パトリック・スチュワート、リーアム・ニーソンらの若かりし頃。
そこそこ楽しめる点もあったが、トータル的に見れば、ダラダラと退屈で面白味に欠けた。
期待外れのアーサー王伝説であった。
岩に刺さった剣は誰にも抜けない。抜いた者こそ王になる男とマーリンは予言する。そして成人したアーサー(ナイジェル・テリー)が剣を抜いた。多くの騎士が彼についてゆき、負け知らずの優秀な騎士ランスロット(ニコラス・クレイ)も得て平和な国を作り上げた。平和とはなったが、アーサーの妻グィネヴィア(チェリー・ランギ)がランスロットと不貞をはたらき、アーサーの異父姉モーガナ(ヘレン・ミレン)が魔女となり、復讐の意味をこめてマーリンから術を奪う。そこで、グィネヴィアに成りすまし、アーサーと関係を持って男子モードレッドを授かるのだ。
アーサーは不貞を発見した時、エクスカリバーを捨ててしまう。そのおかげで豊かだった土地も荒れ果て、疫病が蔓延。彼は聖杯を探すよう騎士たちに命じ、数年経ったが、皆モーガナとモードレッドの土地で呪い殺されてしまう。そしてランスロットの弟子であるパーシバル(ポール・ジェフリー)が生き残り、キャロット城へと帰り、アーサーに聖杯で水を飲ませる。生気を取り戻したアーサーは王位を狙うモードレッドに戦いを挑むのだった・・・
史実を追うような歴史ドラマではなく、魔術師マーリンを中心としたファンタジックな映画。ヒーローとしてのアーサー王より人間らしい個人を描いた映画。若き日のヘレン・ミレンもそうだが、チョイ出のリーアム・ニーソンもいい。