「勝手にしやがれ」のジャン=リュック・ゴダールの長編第4作で、前作「女は女である」に続き、公私にわたるパートナーのアンナ・カリーナ主演で撮りあげた作品。パリのとあるカフェで、夫と人生を語り合った末に別れることになったナナ。家賃も払えないほどの生活に陥ってしまった彼女は、街で男を誘い売春するように。やがてナナは、見知らぬ男と関係を持つことに無感覚になっていく。「シェルブールの雨傘」などの名作曲家ミシェル・ルグランが音楽を手がけた。2019年2月、「ミシェル・ルグランとヌーヴェルヴァーグの監督たち」で4Kデジタルリマスター版が上映。
女と男のいる舗道評論(8)
アンナ・カリーナの横顔、ポスターの前で煙草を吸う立ち姿、掌で身長を測るお茶目な姿、有名な「裁かるるジャンヌ」での涙などなど、印象的なシーンの数々。
音楽、文学、哲学などゴダールお得意のアイテムもふんだんに盛り込まれ、ミシェル・ルグランの8小節の切ない旋律にも心魅かれる。
ラストシーンまで90分弱、12章の中で、タイトルどおり「彼女の人生」を描き切っていて、あらためて深い感銘を受けた。
また最初から繰り返し観たくなる。
フランス映画が詰まらないわけではない。ルコントやベッソンの作品にはとても面白いと感じるものがある。
好き嫌いの別れる映画のことなのだから、他人が面白いと言っても、自分はそう思わないものだってある。
今回はしかし、カメラの存在をあえて観客に意識させるようなカメラワークが印象に残った。特に、カフェの中で主人公から窓(の外)へとパンする2つのショットが心に残った。
体調悪かったことに加え、ゴダールの良さがイマイチピンときておらず完落ち。
気付いたときには終演していました。
2020-85