三重苦のヘレン・ケラー女史がサリバン教師によって人生に光明を見い出すまでの苦闘を描いたウィリアム・ギブソンの戯曲を彼自身がシナリオ化し、ブロードウェイの演出者アーサー・ペンが監督したもの。撮影はアーネスト・カバロス、音楽はローレンス・ローゼンタール、製作はペンと度々コンビを組むフレッド・コーである。出演者は「シャロンの屠殺者」などの舞台女優アン・バンクロフト、「明日に泣く」の子役パティ・デューク、舞台のヴィクター・ジョリー、インガ・スウェンスンなど。バンクロフトは63年度アカデミー主演女優賞、デュークは助演女優賞をそれぞれ受賞しているがゴルーデン・グローブ最優秀新人女優賞(デューク)、イギリス・アカデミー外国主演女優賞(バンクロフト)ほか各種の賞も受賞。
奇跡の人(1962)評論(10)
登場人物の中で、意外と好感が持てる腹違いの兄ジェームズ。ラストでの彼の言葉が後押しして井戸へ向かうんだから、存在感あるはずなんだけど・・
三重苦をのり越える信念と愛情と誠意と。
親の愛と先生の愛は別物だけど共に理解できる。
とにかく2人の熱演に拍手。演じがいがあったんだろーなー。
登場人物で見逃せないのが、ヘレンの兄の存在です。両親の庇護と対決するサリバンの苦闘をひとり客観的に見守る役割です。どちらにも付かない彼の立場で見直して観ると、より主題を理解でき、またそこに神の視点にも思える深さがあります。
ラストでは号泣。見るべき映画だ。
子役も素晴らしい。
つまりサリバン先生のことを指す
物語は誰もが知る内容だが本作は物凄い密度で単なる筋書きを追うような次元を遥かに超えて心を打つ映像で目を釘付けにして迫ってくる
サリバン先生の生い立ちをフラッシュバックで挿入しながら、なぜそこまでの情熱と愛情をもって厳しく教育できたのかを手際よく説明する構成がみごと
神がかった演技を超えた壮絶なまでのヘレンとのやり取り
それがラストシーンのカタルシスともいえる感動を呼ぶ
生き埋めになった少女はみんなが必死で救いだそうとするはずとのフレーズは心を打つ
障害だけだはない
心を閉ざした人、頑迷な人をそこから救い出すこともおなじことだ
逃げずに向き合って、愛情を持って戦わなくてはならなないのだ
ヘレンの両親は南北戦争の将軍の近縁の気位の高い様子を簡潔に良い演技で表現してラストシーンの感動をさらに盛り上げた
舞台はアラバマ州タスカンビアという小さな町
そこはなんとソウルミュージックの聖地マッスルショールズの直ぐとなり、僅か5キロほどしか離れていないのだ
ヘレン・ケラーはその後この町を離れ1968年に亡くなっているが、その翌年1969年彼女の生地の隣マッスルショールズにフェイムスタジオが生まれ数々のソウルミュージックの名曲がここで作られることになる
何もないこんな僻地でだ
何かの巡り合わせとしか考えられないことだ
これもまた奇跡と言う他ない