香港を舞台に若者たちのすれ違う恋模様をスタイリッシュに描き、ウォン・カーウァイ監督の名を一躍世界に知らしめた群像ラブストーリー。エイプリルフールに失恋した刑事223号は、振られた日から1カ月後の自分の誕生日までパイナップルの缶詰を毎日買い続けている。恋人を忘れるため、その夜出会った女に恋をしようと決めた彼は、偶然入ったバーで金髪にサングラスの女と出会う。一方、ハンバーガーショップの店員フェイは、店の常連である刑事633号あての手紙を店主から託される。それは刑事633号の元恋人からの手紙で、彼の部屋の鍵が同封されていた。彼に淡い恋心を抱くフェイは、その鍵を使って部屋に忍び込むが……。刑事223号を金城武、刑事633号をトニー・レオンが演じる。第14回香港電影金像奨で最優秀作品賞など3部門を受賞した。
恋する惑星評論(20)
人の心の痛みはひと月じゃあ治癒しない場合が多いけど。
辛さの共有はできる。失恋した時に観たい映画。
金城武の魅力満載。
スチュワーデスに失恋した警官が次の恋を見つけるまでの物語。
警官とスチュワーデス(当時はまだCAじゃなく)の制服の魅力、私服とのギャップ。
トニーレオンは制服でも私服でも白ブリーフにタンクトップでも何を着ててもかっこいい(笑)
スチュワーデスの方は制服を脱いだら多少恋は覚めるのかも。
話の脈略とかストーカー行為がどうのとかは気にせず雰囲気を楽しむと最高。
フェイウォンがカリフォルニアに本当に行っていたかも怪しいけど気にしない!
監督の映画全般を通して言えると思うのは、特徴的なカメラワーク、色彩の作り方といった映像や音楽のうまい使い方、西欧とアジアの日常ーお箸での食事(ご飯も麺もある!)、掃除場面、特に雑巾での床の水拭きシーンがよく出てくるところとかーの混沌は面白いと思う。一方で、不要ではないかな?という場面を最後にくっつけたり、人物ごとのパーツ分けが好きなのか、それによって全体の構成が緩くなってしまう点が私は苦手です。シンメトリーとか論理的組み立てといったことを意識的に外すのが監督の狙いなのかも知れません。
でも、いいんだ!色っぽくで素敵で、この映画ではキュートで可愛いトニーを見ることができました!アンディ・ラウが言ってたようですが、トニー・レオンは天才だと思います。そしてアンディは努力家。
香港の本を読むにつれ、胸が痛い。今の香港情勢に関しての意見表明が、役者の踏み絵になるのはやめて欲しい。
ときめく可愛らしい映画です。
金城武、かっこよかった〜
描かれている街とそこに住む人達の匂い立つような存在感。知らない街の知らない人達の生活を眺める、というだけで、なぜかとても励まされる。
ため息が出るほど可愛い映画でした。本当にキュートな映画。
まず、主演のフェイ・ウォンがめちゃくちゃ可愛い。キョロキョロした表情が可愛いし、「わ!」とかビックリする声も可愛い。セシルカットで女性としての色気はあまり感じないけど、そのぶん子どもっぽい可愛らしさが強まっていて、特に不法侵入の時に隠れるシーンが最高でした。また、黄色のシャツが可愛いんだわ。
ここまでに可愛という文字を7回も使っていますが、可愛いんだからしょうがない。可愛いとは何か、と問われた時、「恋する惑星のフェイ・ウォン」とこれからは答えることにします。
そして、本作では恐るべきことにトニー・レオンまでもが可愛いのだ。花様年華ではあんなにストイックな男の色気を振りまいたレオン氏だが、本作では素っ頓狂で可愛い男を演じております。
闖入者フェイちゃんに白い動物のぬいぐるみからトラにすり替えられたのですが、そんなトラのぬいぐるみに対して「お前、前は白かったけど、あまり汚れるなよ、傷(トラの模様ね)までつけて…」的なセリフで話しかけたりして、まったく可愛いヤツです。
というか、あのぬいぐるみシリーズは元カノのものだと思っていましたが、もしやレオン氏の私物では?本作のレオン氏ならばそれもありえそうです。
繰り返しかかる夢のカルフォルニアもフェイちゃんが歌う夢中人も、本来好みの曲ではないけどとても良く聴こえる。ウォン・カーウァイのマジックですね。相変わらずカットはキレキレ、色味も薄く緑がかって独特の魅力があります。
一方、前半の話は肌に合いませんでした。ウォン・カーウァイ作品は主人公の魅力で引っ張る傾向があり、主人公が合わないと途端に退屈になるように思えます。金城武はパッとせず。今の方がずっといいですね。金髪のヅラの女も、顔の下半分が老けているので美しくなかった。
なので、フェイちゃんが登場した瞬間、「キター!」となりました。
ラストシーンで、カルフォルニアで1年過ごしてなぜかスッチーになったフェイちゃんは、これまでと打って変わって大人の色気プンプンで、それはそれでいい感じです。邦題もポスターも可愛いし、前半はアレでしたが後半は言うことナシの佳作でした。