大晦日の夜、一軒のホテルを舞台に、4つの部屋で繰り広げられる騒動を描いた4話オムニバスのコメディ。「レザボア・ドッグス」1本でアメリカ映画界の寵児となったクエンティン・タランティーノが、各国の映画祭で知り合ったインディペント系の若手映画作家たちと意気投合し、企画が実現した。各人各様の演出スタイルと映像世代ならではのマニアックな視点、豪華キャストの共演など、見どころは多い。製作はタランティーノ作品でおなじみのローレンス・ベンダー(助演も)。エグゼクティヴ・プロデューサーは、タランティーノとアレクサンダー・ロックウェル。音楽はコンバスティブル・エディソンとエスクィヴェル、美術はメイン・スキューラー。衣装はメアリー・ハナンとスーザン・バートラム。タイトル・バックのカートゥーン・アニメをボブ・カーツが担当。全編の狂言回したるベルボーイ役でクールな怪演を見せるのは「パルプ・フィクション」「ロブ・ロイ
ロマンに生きた男」のティム・ロス。また第3話と4話をつなぐパートに、「忘れられない人」「オンリー・ユー」のマリサ・トメイがホテルの上司役で、プロデューサーのローレンス・ベンダーがヤッピー屑野郎で、それぞれ特別出演している。 〈ルーム321/お客様は魔女〉魔女たちの集会を、個性派女優の競演で描く。監督・脚本は「ガス・フード・ロジング」の女性監督アリソン・アンダース。撮影はロドリゴ・ガルシア。出演は「ホット・ショット」「ホット・ショット2」のヴァレリア・ゴリノ、「スネーク・アイズ」のマドンナ、「プレタポルテ」のリリ・テイラー、「チャイナ・シャドー」のサミ・デイヴィス、「ガス・フード・ロジング」のアイオン・スカイほか。 〈ルーム404/間違えられた男〉間男に間違えられ、殺されそうになったテッドの災難を描く。監督・脚本は「イン・ザ・スープ」のアレクサンダー・ロックウェル。撮影も同作のフィル・パーメット。出演は、監督夫人でもある「親愛なる日記」のジェニファー・ビールス、「ショーシャンクの空に」のデイヴィッド・プローヴァル。 〈ルーム309/かわいい無法者〉ヤクザ者に子供たちのお守りを頼まれたテッドが、その悪ガキたちのためにまたしても災難に巻き込まれる姿を、スピード感溢れるスラップスティック調で描く。監督・脚本・編集は「エル・マリアッチ」「デスペラード」のロバート・ロドリゲス。撮影は「デスペラード」のギレルモ・ナバロ。出演は「デスペラード」のアントニオ・バンデラス、「ジョイ・ラック・クラブ」のタムリン・トミタほか。 〈ペントハウス/ハリウッドから来た男〉往年のテレビシリーズ『ヒッチコック劇場』の1話「リオから来た男(日本放映題/指)」(原作はロアルド・ダールの『南から来た男』)に登場する賭けを再現しようとする男たちのエピソード。手持ちカメラの長回し撮影が効果的。監督・脚本・主演は「パルプ・フィクション」のクエンティン・タランティーノ。撮影も同作のアンジェイ・セクラ。共演は「パルプ・フィクション」「ダイ・ハード3」のブルース・ウィリス、第2話に続いて再登場のジェニファー・ビールスほか。
フォー・ルームス評論(9)
それぞれ違う監督が4つの物語がオムニバス形式になっているのに妙な連帯感があって不思議なテイスト。
全部の話が味が濃いのに全体として1本の映画になってるのがすごい。
ロドリゲスとバンデラスのタッグは面白すぎて息できなくなる。(ほんと好き)
4つの物語を渡り歩くティム ・ロスの存在感と演技力が映画の骨になってて最高の仕事してる。
あとタランティーノ監督作に出ているタランティーノが好きだからね。そう
オチもいいんだよ。
ルーム321/お客様は魔女。ちょっとエロティックな作品で、大魔女復活のために処女の血や1年分の涙やらを混合させるのだが、恋人のザーメンを採取し忘れた魔女がティム・ロスから採っちゃえ!てなノリで儀式を行う・・・
ルーム404/間違えられた男。間男と間違えられたベルボーイのティム・ロスが夫から拳銃を向けられる。テオドアという名前とか愛称がテッドだとかテディだとか、どうでもいい会話で緊迫感を薄れさせる。4つの中では一番つまんないかも・・・
ルーム309/かわいい無法者。メキシカンギャングのアントニオ・バンデラス夫妻が子供たちの世話をベルボーイにまかせることで始まる珍事件。メンソレータムをまぶたに塗るってのが寝るコツだったのか!と、子供たちのほうが賢く、終盤に一気にカタストロフへ。ロドリゲスらしい作風だった。
ペントハウス/ハリウッドから来た男。タランティーノ本人が演ずる喜劇俳優のチェスター・ラッシュがベルボーイを呼びつけ、懐かしのテレビ番組にあったエピソードを再現しようとしていた。ジッポライターで10回連続火を点けることができれば、チェスターの高級車をゲットできるが、負けたら小指を切られるという恐ろしい遊び。100ドル札に目がくらんだティム・ロスが逃げ出そうとしたのにもかかわらず、戻ってきてしまうというもの。
単なるお笑いじゃなく、風変わりな視線でブラック・ジョークを楽しむ作品。大晦日に一人しか仕事をしていないのだが、チップには目がないベルボーイというのがツボ。一話目でいい思いしてるんだから、後は無難に仕事をこなすだけ。だけど、珍事に巻き込まれるおかしさがタランティーノらしさを醸し出していた。
オムニバス形式なので個別に点数。
ROOM321 お客様は魔女 …1.0
ROOM404 間違えられた男…1.5
ROOM309 かわいい無法者…2.5
ペントハウス ハリウッドから来た男…3.5
1話2話は音楽も演出も映像も会話もストーリーも全て好みでなく、そこに加えてティム・ロスの過剰なコミカル演技なので、腹が立ってくる。
3話目は映像や演出が変わったなと思ったらやっぱり監督はロバート・ロドリゲスに。くだらないのは前二話同様だが、父親のアップやエレベーターの乗り降りのくだりなど、こだわりを感じる。
ここではベルボーイは目障りである。
4話は安心して観れた。ティム・ロスの過剰な演技を、この中でうまく活かしているように感じる。5人で話している画の画角と細かな動きは観ていて気持ちがよい。
ブルース・ウィルスが電話している横で、壁に会話している2人が影で映っていたり、ベルボーイを奥で説得している傍ら、手前で話していたり、それらを長回しで撮っていたりと、これらの演出は個人的に好き。
最後まであきらめずに観てよかった。
4話だけはたまに観たい(3話も)。