運命的な出会いを果たした女性と、今までの恋人や日常との二者択一を迫られる青年を描いたシュールな恋愛映画。監督・脚本はこれが長編デビューとなるクリストファー・ボー。音楽はこれが初の長編映画仕事となるトーマス・ナック。編集は『キング・オブ・パイレーツ』(V)のミッケル・E・G・ニールセン。出演は「しあわせな孤独」のニコライ・リー・カース、「13ウォーリアーズ」のマリア・ボネヴィーほか。2003年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール、批評家週間最優秀作品賞、同年サン・セバスチャン国際映画祭国際批評家連盟監督賞、同年シカゴ国際映画祭撮影部門金賞、2004年ローベル映画祭(デンマーク・アカデミー賞)最優秀編集賞、最優秀音響賞ほか多数受賞。
恋に落ちる確率評論(1)
運命の女性に出会う・・・恋人シモーネとのデートを放り出して、小説家の妻アイメに一目惚れするアレックス。シモーネとアイメは女優マリア・ボネヴィーの一人二役なのだから、結局は同じタイプの女性を好きになるということも表現し、人妻を好きになったら後戻りはできないことも隠喩しているのかもしれない。
最初は、SFチックにパラレルワールドにでも迷い込んだのか、周りの人間が共謀してアレックスをハメようとしているのかと考えてしまいました。ライターやローマ観光地図が伏線を為しているように、映画そのものの構成が作家アウグストの小説の中で動いているような気がします。「男と女の出会いのシーンをようやく考えついたよ」(不確かです)という彼の台詞と、マジシャンの映像で全てをサンドイッチする構成がまさしく「再構成」(原題:Reconstruction)を意味しているような・・・
多分、アウグストは自慢の妻を小説の中に登場させたくてしょうがない男。若者に妻を寝取られることも快感に覚える変な奴なのでしょう。そういう風変わりな人間じゃないと小説は面白くないですよね・・・