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ランボー 最後の戦場評論(20)
もし、スタローン以外のキャストがもうすこしましなら、スタローンはアカデミー賞をいくらでも受賞できただろうに。
この作品は、シナリオと映像が特に際立って良かったので残念だ、スタローンの名優姿だけが印象に残った。
うぉー、こんなリアルなドンパチだったか、身体は四散、首チョンパ。あまりの惨さに時間を忘れた。聖人面して戦場に行く恐ろしさ。
やっと帰還したな、さあここからか、と思ったらエンドロールが??それでもまだ話が始まると思っていた。思い込み。そう、老化現象。
ヤバイ!つい先日も娘の卒業公演を場所を間違えて思い込み、見逃すという失態を犯したばかりだ。悲しすぎる。
これって第4作だったのね。自分でレンタル、ダビングしておきながら…情け無い。
話はしっかりランボーでした。前3作を受け継ぐ面白さ。第5作の予習ということにしておこう(笑)
しかし、ちょっとグロすぎ、いやこれぞ戦争の真実なのかもしれぬ。
クリードで見せた演技といい、老いてからのスタローンがすごくいい。言葉の重みが全然違って、また口数が少ないからそれが余計に際立つし、目で語れるくらいの含蓄というかオーラを放っている。
ポスターにもなっているこのセリフ、
「Live for nothing ,or die for something.Your call.」
国のために戦ったのに、報われず、友さえも失い孤独の中に生きる戦士が、今度は自らの倫理や正義のあるべき論に従った価値観で、それでも自分が身を置くべき場所は現場なのだと、ある意味使命感を持って戦い続ける生き様を見せてきたランボーが、この世はNO PAIN NO GAIN なのであると痛切に訴えかけてくる。一番の名シーンをあげるならここだろう。
このとき60歳くらいか。72歳になってる最新作が楽しみだ。
実に20年ぶり!
こちらはリアルタイムで初めて劇場で観た。
ミャンマー軍事政権によるカレン族迫害が激化。
ある日NGO一団がやって来て、タイのジャングルでボート運搬やヘビ獲りで生計を立てている一人の男にミャンマーまで案内を頼む。
その男は危険だと断るが、メンバーの熱心な女性に懇願され、承諾する。
小さな村まで送り届けたが…、その後彼らが野蛮なミャンマー軍に囚われた事を知らされる。
彼らを救出する為やって来た傭兵たち。
同行するその男。
傭兵たちもNGOメンバーもミャンマー軍も知らなかった。
その男こそ、ジョン・ランボーである事を…!
話的には『~怒りの脱出』と『~怒りのアフガン』を足したような感じ。
つまり、救出アクション&現状を訴える社会派の一面。
ならば『~怒りのアフガン』寄りで、こちらもアンバランスのように思えるが、明らかに違うほどの迫真さ。
ミャンマーでこんな事が起きていたのか…!
野蛮なミャンマー軍には慈悲も一切無い。
女性は犯され、民間人…老人も子供も皆虐殺される。
あの当たるまで続けられる“地雷ゲーム”は戦慄。
その鬼畜の所業にはランボーでなくとも怒りがこみ上げてくる。
残虐な奴らに、残虐な鉄槌を。
ミャンマー軍は許し難いが、浅はかなボランティアにもチクリと風刺が効いていたような気がする。
シリーズで最もグロい。
血肉、頭手足、飛び散る地獄絵図。
ランボーが敵兵の首を素手でかっ切るシーンが昔見た時から特に印象的。
『ロッキー』は何本か自ら監督しているが、『ランボー』は本作のみ。スタローンの監督作ってオーソドックスな印象なので、こういうのも撮るんだと意外な気もした。
しかしこれが、ランボーが見た戦場のリアルだろう。
自分の心に深い傷を負ったベトナム戦争での後遺症などもっとかもしれない。
そういった意味では超人的なアクション映画を期待すると肩透かしだが、生々しさや悲惨さでは原点回帰。
さすがに20年経ち、スタローン/ランボーも歳を重ねたが、ある台詞は重みを増した。
「無駄に生きるか、何かの為に死ぬか。お前が決めろ」
最後の一節はこうも聞こえる。
「自分で決めろ」
ランボーが決めたラストに、思わず心が穏やかになった。
やっと、この男にも平穏な時が…。
…と思ったら、また新作が作られた!