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大丈夫であるように Cocco 終らない旅評論(4)
歌手Coccoのコンサートツアーを追い掛けたドキュメンタリー映画ですが、これは一介のコンサートツアーを撮影したドキュメンタリーとは違う趣を持っている。
映画を観終えた今、彼女の持ち合わせている“資質”に深く感動した。
これまで彼女に関してはそれ程の興味を持っていなかったので、詳しい事は解らない事だらけ。
もしも間違いで無ければ一旦芸能活動を中止して居たと記憶しているんですが…。
このドキュメンタリーを監督したのは『誰も知らない』『歩いても 歩いても』の是枝裕和監督。
沖縄に生まれ、沖縄人として厭な事を“厭”と言えず受け入れ無ければならない現実を目の当たりにし、それを“仕方無い”と受け流して来たと話す彼女。
とにかく、「歌う事しか出来ない…」と語りながら、世界の平和を願い、進む環境破壊に憂いを持つ。その小さな身体全体で悔しさ・辛さ・どうにもならない焦燥感を抱え込んでいる事実…。映画前半のハイライトにあたる青森でのコンサートでは思わず号泣してしまった。
是枝監督の演出も、彼女を介して“様々な問題定義”を投げかけており、それには一環した姿勢が感じられる。
ただ、“ある生き物”が姿を表した映像を作為的に挿入したのはドキュメンタリーとして果たしてどうだったのか?との疑問点は在るのですが…。
それでも彼女が発する《祈り》にも似た、魂からの叫びの様な歌声には心を激しく揺さぶられてしまいました。
(2008年12月18日シネマライズ DOWN theater)
初のドキュメンタリー映画だった。心が揺さぶられた。そして拒食症になったというのを見たとき胸がわしづかみにされた。
こういう姿勢が真の歌手なんだなと思った。自分の感じたことを歌に乗せ歌うことでメッセージとして届ける。中にはこれを見てCoccoをやりすぎだとか思う人がいるかもしれない。だけど我々がどこかで他人事に考えている人の悲しみを全力で受け止めてしまう優しさの持ち主なんだと思う。米軍基地移転問題、原発問題、ひめゆり達の戦後の心の傷、それ以外にも周りには自分の力ではどうにもならない問題を抱え苦しんでいる人がいる。オーバーではなくそこにある。Coccoは歌うしか自分にはないと歌い続けている。彼女のその思いに触れたことで、僕は人生の目標ができた。この映画との出会いに感謝したい。
目の前の吟遊詩人が吟じるまでじっと優しくカメラが待ち続けて、ひとたび吟じたならばそれを決して離そうとしない粘り強さなのか、Coccoが紡ぐ物語に終始魅了された。
画面の中にある人間性こそがこのドキュメンタリーを至高のものへと押し上げているのは確かなことではあるが、地道な取材と秀一など編集あってこそ、このような見事な作品になっているのだと感じた。
ワンカットワンカットが必ずしも決まっているわけでもなく、むしろ部分的に見たとき不自然に感じる構図の連続であったものの、それらが一体として一つの意志を持った塊として提示された瞬間、すべてがものの見事に連なりあって、大きな感動となって押し寄せてくる。
これは単なるいちミュージシャンのプロモーションなどではない。とはいえ、だからこそ?、見たあと、Coccoの音楽を体感したいと思ったことは間違いない。