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ソラニン評論(20)
映画が公開されてから約10年経って、当時は人気絶頂だったアジカンの曲とサブカル漫画の王道の浅野いにお先生の作品を映画化させると聞いて即映画館に向かった。
その時の感動はバンドに対する憧れの青い感情と「芽衣子さん可愛いな」とか「こんな可愛い彼女いて幸せなのになんで種田死んだんだよ」でもラスト感動したしいい映画だなってそんな感じだった。
そして10年ぶりにに鑑賞して、今の邦画にはないような昔の邦画独特の間を作り表情や雰囲気で解釈させる映像が疲れた体に心地良く感じ、ボーっとゆっくりと時の流れを感じながら見れるかんじ。
昔は理解不能だった種田の行動も、男としてのプライドと夢もどっちかずな自分に嫌気がさして起こしたと今ならなんとなく理解出来るし、ただ可愛いと感じていた芽衣子さんもちょっと重いなーと感じるシーンもあって。
傍から見たら可愛い彼女と良い仲間がいてまだ若いんだから就職先なんか探そうと思えばいくらでもあるし他人から見たら羨ましいくらいなのに、それでも別れと死を選んだ種田はきっと他人から見た幸せなんかに一切興味はなく自分にとっての幸せは一本だったんだね。
また10年後20年後またソラニンを見たらどう感じるだろう。
それまでまで生きてたいな。
種田が死んでから、物語が生き生きしてくる皮肉。
宮崎あおいの歌がそこそこ上手い。
井浦新の演技と比べると、周りの男優のヘタレ加減がよくわかる、桐谷健太は例外だけど。
原作は笑いの部分も多いそうだけど、かなりトホホな内容でした、残念。
憧れる、音楽の世界という響き。
メモ
今まで何度か、種田の死は事故なのか自殺なのかと人から聞かれたことがあって、そのたびに自分はどっちともつかない煮え切らない答えをしていた。実のところ描いた当の僕も種田の行動の理由はあまり考えないようにしていた。というよりも考えたくなった。だって絶対にくだらない理由だから。
でもあえて今、その理由を説明するならば、種田の死因は「願かけ」だったんだと思う。「あの信号を渡り切れたら、きっといろいろうまくいく」という類の。
最後の最後に運任せだなんて本当に情けない。本当に馬鹿だ。自力で出した結果が己の全てなのに、それを受け入れなきゃ前に進めないんだよ。
今後も僕は種田を好きになれないと思う。だってもう死んでるから。
出典 : 浅野いにお『ソラニン 新装版』
引用
https://www.shizen-books.link/solanine-taneda/
私はプロのミュージシャンになろうなんてこれまで一瞬たりとも考えたことはないし、本当に趣味程度だけれど、それでも音楽を聴く楽しさも演奏する楽しさも一度知ってしまったらもう忘れることなんてできなくて。知らなければ楽器に触れない時間をこんなに苦痛に感じることはなかったのに、知ってしまったから演奏できない期間が淋しくて仕方ないのです。
全体的に、大人になりきれていない痛々しさと情景の美しさがごちゃ混ぜになってエモすぎでした!
自分自身の過去の後悔、今の悩み、将来の不安など色々重ねながら観て、まだまだこの先も繰り返し観たくなる映画だと思います。
あおいちゃんはひたすら可愛いことはもちろん、演技も歌も引き込まれます。
後半の、サンボマスターのベースさんと桐谷健太さん伊藤歩さんの演技が素晴らしくて好きです。