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サウダーヂ評論(11)
この作品は地方都市の厳しい現状を見事に映画化してると思う。職種や国籍など個性の違うあらゆる種類のキャラクターを登場させ、衰退した地方都市で奮闘し生活する人々の姿が描かれている。それぞれの地方都市に対する思いがしっかりと表現されていてとても面白かった。
このような地方都市の不況と空洞化の現実を、映画という作品にして、世の中に発信し続ける空族は本当に素晴らしい。彼らが世の中に問題提起している姿は、地方都市の人々を熱くするものがあると思う。
そしてソフト化やネット配信が当たり前のこの時代に、あえてそれらを封印し、映画は劇場で楽しむものという古き良き価値観を貫き、発信し続ける空族のスタイルにも心からリスペクトできる。彼らのアンチ商業主義的な姿勢や精神は素晴らしいとしか言いようがない。
この作品は何度も観返すことによって深みの出てくる、スメル系の作品だと思う。自分はこの作品を二度観たけれど、それでもまた見たいと思う。特別上映などの機会でしか観ることが出来ない貴重な作品だからチャンスが来たら確実に観に行きたいと思う。
ドキュメンタリー映画と言えるのかもしれない。
こんなに切なく苦しく、人が生きるということを観察した映画は少ない。
サウダーヂ=ここではないどこか。
という夢の場所を探し求める人々は一体どこへ行ってしまうのだろうか。
地方都市の持つ矛盾、それに対する葛藤、苛立ち、そういうものが全てこの中に包まれている。
役者も監督も普段からそれだけをやっている人々というわけではなく、本当の意味で自主映画という感じで、しかしながら自主映画という範囲のものではなくもっと一般的な映画会社がつくったのではないかというクオリティの映画で素晴らしかった。
ある者は、ラブ&ピースに夢を見出します。
ある者は、女との海外移住に夢を見出します。
ある者は、怪しげな水に夢を見出します。
ある者は、日本人という存在に夢を見出します。
私は架空である映画というものを通して、現実を直視しないで蓋をしてきた日本の恐ろしい現実を観てしまったようです。いつの間にか行き場をなくした人で埋め尽くされる日本という美しい国の正体を。
女性の視点だと、(私の視点だと)ミャオに入れあげる土方の彼の駄目さ加減にイライラしたりしたんですが。。
(男)I hate money → (女)I need money だったかな。当然の話ですよね。
映画の出来とは別に、私が嫌いなキャラばかり出ていたのがイライラの原因かも。イライラさせる力が、この映画にあるって事だけども。
イライラは別として、リアルにありそうなストーリーやキャラは良かった。
私は期待しすぎてガッカリした感は否めないけど、一緒に観に行ったダンナは高評価だった。
男性には好印象なのかな。
評判通りなんというか強度の高い作品でした。今いる場所に希望を失い、自分が出て行こうとする者と他者を追い出そうとする者の対比が興味深い。その今いる場所というのがなんというか、強いとしか形容できない映像で描かれる実際の地方都市というのも考えさせられる。とにかく登場人物の八方塞がり感が素晴らしい。一番問題なさそうなのが地元で自分たちの世界が完結している、今で言うマイルドヤンキー達というのもありそうな感じで好きです。