シュナイドマンの憂鬱
プロット
日本
05月31日 上映
情熱の王国
プロット
スペイン・メキシコ合作
06月01日 上映
ナイトスイム
プロット
アメリカ
06月07日 上映
罪深き少年たち
プロット
韓国
06月07日 上映
コール・ジェーン 女性たちの秘密の電話
プロット
アメリカ
03月22日 上映
ピアノ 2 Pianos 4 Hands
プロット
カナダ
03月22日 上映
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DISTANCE ディスタンス評論(8)
ぼそぼそ言ってて聞こえないくらい。
加害者の遺族、という新たな視点。信じる人と信じない人、信じられない人の差って何なんだろう。心に穴が空いている人が信じやすいと思ってたけど、そうでもないっぽい。やっぱり信じない側からすれば絶対に理解できない。でも家族に信じる人がいたらどうだろう。どうするのか。あらゆる事件の加害者の遺族の気持ちなど考えたこともなかったが、確実にいるということ、そこに気持ちがあるということ。
あの時代を過ごした人にとって、本作の生々しさはなんとも言えない嫌な感じがある。多くの人にとっては、オウムに家族を殺されたわけでもなければ、加害者遺族になったわけでもないだろう。それでも本作に通底する漠然とした不安、自分がどこに向かっているのかわからない感覚、どこからきたのかすらわからなくなってしまった感覚にはあの時代特有な不安感が呼び覚まされる気がする。
映画では、登場人物は最初、どこに向かっているかもわからない。車を盗まれ、ますます、行くべき場所を見失う。泊まる場所を見つけても不安はなくならない。自分たちはここでなにをしているのか。彼ら自身がわからないまま不安と向き合う。
自分はたまたまアラタや伊勢谷と世代も近く、舞台の一つになっている小渕沢も音楽フェスなどに行くために通っていたことがあってそうした個人的な記憶も生々しい感覚と関係しているかもしれない。湖畔で揺れる水面。遠くで鳴く鳥の声。風が木々を揺らす音。雨の匂い。土の匂い。都会育ちの自分にとってはそういう音の一つ一つが、あの夏の記憶を呼び覚ます。煙草のシーンでさえ、ヘビースモーカーだった当時の自分を思い出させる。
事件を起こした人間は狂ってるに違いない。それは事実かもしれないけど、一方では、ありふれた日常を送る僕らの隣人や家族、もしくは僕ら自身にあり得た物語なのかもしれないとも思う。どんな時でさえ軽薄に笑う伊勢谷を見てると、とても加害者遺族には見えない。穏やかな表情で優しく笑うりょうを見てると、とても加害者の見せる笑顔には見えない。
僕らはどこからきてどこへ向かうのか。本当は誰もそれを知らない。知らないくせに忘れた振りをして毎日を生きている。あの時もそうだったし、今でもそうだ。せっかく忘れたフリをしている僕らに、りょうは優しく呟く。終わりでも始まりでもない時間。サイレントブルー。終わって始まるその歴史に参加するのだと。狂っているとはなんだろうか。
帰ろうとしたところ、乗ってきた車が盗まれ、廃墟となった元教団の建物で一夜を過ごす。
遺族四人と元信者の五人が過去を振り返る。
とてもリアルで面白いのだがセリフが聞き取りにくい。
■「真理の箱舟」に家族を奪われ、(そしてその家族は、無差別殺人を犯し、教団により殺害され、その灰を湖に撒かれた・・)4人、きよか、実、勝、敦が前半、ある駅に集まり皆でジープで湖に向かい、花束を投げるシーンが淡々と、きよかが作ったお弁当を食べるシーンなどは少し楽し気に描かれる。
”ピクニックのようだね・・”
その日は、彼ら4人の家族だった者たちの命日であった・・。
そこに、元教団にいた坂田(浅野忠信)が、バイクで現れ・・。
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■彼らから家族が離れていくシーンが挟み込まれる・・。
・教育熱心な夫、環(遠藤憲一)がある日、教団に入ると言い出し、困惑し子供はどうするのかと詰め寄る妻きよか(夏川結衣)
そして、突然帰宅した夫を激しい剣幕で家の外に追い出すことも思い出す。
・妻(山下容莉枝)からある日、教団に入信すると告げられ、(隣には教団の男(村杉蝉之介:不気味である・・)が一緒に説得する・・。
”大事な価値観を見つけたの・・”
逆上する、サラリーマンの夫、実。
”お前ら、おかしいよ・・”
その後、医者から妻が二度、堕胎していたことを告げられる実。
ー何も知らなかったのだ、妻なのに・・-
・勝(伊勢谷友介)は夏の暑い日、兄から何気なく”入信するよ‥、暫く会えなくなる”と言われて、別れる。
・敦(ARATA)は姉の夕子(りょう)のことを元教団員で、事件直前に逃げ出した坂田から聞いている・・。画面では、坂田と夕子の湖畔でのやり取りが描かれる・・。
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彼らの車、バイクが盗まれ、困惑しながら、山道を進む。
そして、たどり着いた且つての教団のアジト。
彼らはそこで、様々な思いで話をする。
・”サイレント・ブルー”の話を姉としたことを思い出す敦。
・”神、正義が大量虐殺を引き起こして来た・・”
そして、翌日、皆で湖に寄ってから、都会に戻る・・。
その途中、不意に坂田が敦に”貴方は誰ですか・・、夕子の弟さんは自殺したはず・・”サングラスをかけたまま、無言の敦。
そして、皆別れる。
ー場面は、急遽、湖に戻る。敦が独り百合の花束を持って、湖畔の桟橋に佇む。そして、”父さん・・”と呟いてから、4人の古い家族写真を焼く。
そして、桟橋から大きな炎が上がる・・。-
エンドロール:湖畔に打ち寄せる波の音だろうか、水音が静に響く。
<近作品は、エンタメ要素は希薄で、物語は大切な家族をカルト教団に奪われた人々の姿を淡々と描く。だが、それが却って人の心に忍び込むカルトの恐ろしさを描いている作品。
敦は姉、夕子を深く愛していたのではないか? だから、後を追ったのではないだろうか?
だが、魂魄はこの世に残り、思い出の家族写真を”忌まわしき湖”で焼くことで、深い哀しみ、怒りを癒したのではないか・・。
等々、鑑賞後もイロイロ考えてしまった作品。
鑑賞後の余韻が、哀しく、苦く残る作品でもある。>