60年代の最大の女性シンガーといわれたジャニス・ジョプリンをモデルに、反体制の空気に満ちた60年代のアメリカの若者を熱狂させた1人のロック歌手ローズの愛と激情の人生を描く。製作総指揮はトニー・レイ、製作はマーヴィン・ワースとアーロン・ロッソ、監督は「シンデレラ・リバティー
かぎりなき愛」のマーク・ライデル。ビル・カービーの原案を基に彼とボー・ゴールドマンが脚色。撮影はヴィルモス・ジグモンド、音楽はポール・A・ロスチャイルド、編集はロバート・L・ウォルフ、美術はジム・ショッピ、衣裳はシオニ・V・アルドレッジが各各担当。出演はベット・ミドラー、アラン・ベイツ、フレデリック・フォレスト、ハリー・ディーン・スタントン、バリー・プリマス、デビッド・キース、サンドラ・マッケーブ、ウィル・ヘアー、ルディー・ボンドなど。日本語版監修は清水俊二。デラックスカラー、ビスタサイズ。1979年作品。
ローズ評論(2)
ジャニス・ジョプリンをモデルに、ローズという女性シンガーの波瀾万丈な歌手人生を描いている。
もちろん豪快で破滅的ななローズの振る舞いや、女としての苦悩やらは観ていて爽快でもあり切なくも痛くもあり、音楽業界のシビアさなども垣間見えて映画としても十分面白い。
だが最大の見所はベット・ミドラーの圧巻のライブだろう。
彼女の本当に命を削るようなパフォーマンスや歌唱に恵まれた映画だと思う。
音楽も素晴らしい。
特に序盤でローズがステージで歌う「男が女を愛する時」という名曲は、私もなんとなく知っていたが、こんなに、こんなに映像での歌唱パフォーマンスで鳥肌が立ったのはこの映画が初めてだった。
終盤で歌われる「Stay with me」では映画の観客さながらに興奮し、泣いてしまった。
そしてエンディングで流れる「Rose」は今や世界中カバーされ、(個人的にジブリの「おもひでぽろぽろ」のEDがカバーで一番好き)有名だ。
落ち込んだ時、空っぽになったときにローズのパフォーマンスに勇気と命の息吹をもらう。
これからも観ていくだろう。
ジャニス・ジョプリンの擬似伝記映画というよりも最早ベット・ミドラー演じるローズという歌手の映画。マーク・ライデルの演出は悪くないのだが、残念ながら佳作の一歩手前の出来。イギリスのアラン・ベイツをローズのマネージャー役に持ってきた配役も意表をついた。ローズが「この男だけは」と思っていたフレデリック・フォレストにやはり去られるシーンで男の後を追いかけて絶叫するベット・ミドラーの演技が凄い。この時のベット・ミドラーの叫びを日本語で表現すれば、やはり、標準語の「行かないで~」ではなく、関西弁の「行かんといて~!」がぴったり来る。