「脱出」などで知られるイギリスの巨匠ジョン・ブアマンが、ショーン・コネリーを主演に迎えたSF映画。2293年、人類は不老不死の社会を実現した。永遠の命を持つ特権階級のエターナルズは、荒廃した外界から隔絶された透明ドームの中で優雅な暮らしを送っている。彼らは空飛ぶ巨大神像ザルドスを建立し、それを神と崇める撲滅戦士・エクスターミネーターズを操って、外界で暮らす獣人・ブルータルズの搾取と殺戮を続けていた。ある日、エクスターミネーターズのリーダーであるゼッドが、ザルドスの中に身を隠してドーム内に潜入する。共演は「愛の嵐」のシャーロット・ランプリング。スタンリー・キューブリック監督がクレジットなしでテクニカルアドバイザーとして協力し、「2001年宇宙の旅」のジェフリー・アンスワースが撮影を手がけた。
未来惑星ザルドス評論(4)
不老不死が実現したら…
社会システムは? 自然は? 人間は?
完全と思えた未来社会とその崩壊の一部始終を目撃する。
非常に巧妙に組み立てられたストーリーに脱帽します。映像の斬新さにも拍手。ラストに流れるベートーベンの第7交響曲 第2楽章!この曲がこれほどハマる映画は他にありません。
とにかくオープニングのあの飛行物体の印象が強いです。
巨大な顔の岩石がすごいインパクトを持っていた。アイルランドあたりの自然に見事に解けこんでしまっている。
獣人を殺し続けてきたゼッド(コネリー)はボルテックスでは「死ぬことのできる人間」として重宝がられる。管理された未来人は自ら死を選ぶことすらできない。額にクリスタルを植え付けられて、互いに連絡を取り合ってるほど支配者層に管理されているのだ。
実は長老たちは科学者であったとか、ゼッドが読まされていた本が「オズの魔法使い」であったり、結構斬新なSFとなっていた。それでも面白いのはランブリングが生殖について講義するところだったり、胸毛だらけのコネリーが花嫁に変装する場面だったりする。神なんて、結局支配者層が勝手に創りあげたものであったり、人間の記憶を消して自分たちの身の保全に力を注いでいたりと、現代社会の風刺にも繋がっている。
中学生の頃に公開されたけど、当時観ていたらかなり興奮したに違いないエロチックシーン。勿論ランプリングの薄い衣装とか、最終的にはチラリと見せる胸。ストーリーは最後には破綻しているような感じだが、サイケデリックSFとして印象に残る映画でもある。
何もかも果てしなくつまらない
石のダルマはマルクスの顔だ
その妖怪が無知な人類世界を徘徊し、革命の前衛に選ばれた者達に武器を提供する
彼らはノンポリの人民を銃口にさらす
高度に発達した社会は打倒されるのを待っている
罰として加齢された老人達は当時のヤングゼネレーションに対する大人の世界
若い世代の特権階級は高い教育を受けたブルジョアだ
革命の意義をわからず研究対象とのみ捉えている
革命は主導者によって武力をもってなる
殺される側もそれを必然として打倒されるのを受容して
そして人間らしい社会を取り戻す
赤面するような底の浅い暗喩だ
その革命こそがどのようなディストピアを生んだのかを現代の我々は知っているからだ
そこにフリーセックスの要素を入れて
女性が男性機能を研究するシーンや
主人公が全裸に近い姿で前編登場して不必要に男性の肉体をさらす
これもまた安直だ
フリーセックスの結果もまた現代の我々は悲惨な結末を知っているからだ
50年近い昔ならどちらも新鮮だったのかも知れない
憧れだったのだろう
当時の意識高い系の若者達にはそれがオシャレですらあったのだろう
未来のディストピアを映像化した映画としてははしりだろう
その意義はあるが、21世紀の今日の目からみるとあまりにもつまらない
無邪気すぎ子供すぎる
そう、オズの魔法使いのおとぎ話だ
いやはじめから批判の意味合いを意図してこのタイトルを使用していたのだろうか?