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トリコロール 白の愛評論(4)
3部作の中で「白」は「平等」ということだそうですが、ここで描いている平等とは「俺が味わった苦しみをお前も味わえ」ということなのか、それとも「俺をお前と同じ人間として認めろ」ということなのか、はたまた両方なのか。
トリコロール3部作には「法」という共通のテーマがあることは明らかだ。
とりわけこの「白」において「法」の問題に焦点が絞られている。
法の下の平等という言葉があるくらいだから、平等を象徴する「白」において法制度への言及が多いのは当然のことだろう。
しかし、この映画の中ではこの「法の下の平等」がどれほど絵に描いた餅に過ぎないか、または実現することが難しい理想なのかについて語られる。
パリの裁判所で、主人公カロルが声高に訴える。
「フランス語を話せないものの権利は認められないのか。」
共和国の掲げる平等とは、フランス語を話せるもの、つまりフランス人にしか適用されない理想なのかという、外国人の切なる異議申し立てである。
転じて、ワルシャワで逮捕されたカロルの妻も、大使館員が来たにもかかわらず、無実の罪で収監されてしまう。
この(元)夫婦が互いの法的な立場を失ってから心を通わせて、再生を誓うところが、キェシロフスキ監督のアイロニーだ。
「赤」においては、法を司る者がその仕事を通じて法制度の不完全さと人間の真実の姿の前に隠遁している姿を描いている。ここでは法が人を幸せにしているのではないことを、この隠者と若く純真な女性との交流によって明らかにしている。
「青」の主人公ジュリーは、裁判を傍聴しようとするが、警備員に法廷から出ていくように促される。法曹界での活躍が期待される若く美しい女性は、亡き夫の子供を身籠っていて、ジュリーはその母子に広大な屋敷と生活費を提供する。法制度へのアクセスすら断って、彼女は自らのわだかまりから自由になる。