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座頭市兇状旅 プロット 日本 08月10日 1963 上映
座頭市喧嘩旅 プロット 日本 11月30日 1963 上映
座頭市地獄旅 プロット 日本 12月24日 1965 上映
座頭市鉄火旅 プロット 日本 01月03日 1967 上映
座頭市御用旅 プロット 日本 01月15日 1972 上映
座頭市血煙り街道 プロット 日本 12月30日 1967 上映
座頭市血笑旅評論(4)
座頭市と赤ん坊のロードムービー。北野武の「菊次郎の夏」って、これを元にしてるのでは?似たような物語です。
座頭市と言えば、神のような無敵の勝新、というイメージですが・・・本作はそうではない。とても人間ぽい。座頭市が人間的な弱みを見せたのは、本作が初めてなのでは?
僕は三隅研次監督を誤解していたよ。この人、全然スプラッターなキワモノ監督ではない。正統派な静かな時代劇の名手だと思う。
その証拠に、本作には殺陣での見せ場はない。会話による駆け引き(クレバーな座頭市)におけるギャグ、というか人間ドラマが見せ場。
観終わった後で幸せな気持ちになれる(そんな座頭市があったとはw)。
劇場版の座頭市シリーズは、毛色の違う製作者が上手くローテーションされてるから良かったのかもしれないね。各作品で力の入れどころが違う。毎回正統派時代劇でも飽きるし、キワモノ映画一辺倒でも長続きしない。色んな色を見せておいて、たまーに、三隅監督の正統派時代劇が来る、というのが良いのかも。
シリーズものを長生きさせるコツかもしれない。
それはまるで早春の陽射しに包まれているかのような優しい暖かさだった。
シリーズ第8作目。
全26作ある座頭市シリーズ。当り外れあるのは当然。
これまでにも幾つか面白いものはあったもののレビューを書くまでには至らなかったが、本作はシリーズの中でも出色で思う事もあったのでレビュー。
数人組の刺客に狙われている市。間違いから自分の身代わりに赤子を抱いた若い母親が殺された。責任を感じた市は赤子を父親の元へ届けようとする…。
何と言ってもキーは、赤ん坊。
次第に情が沸き、自分が育てるとまで強く思う市。
ひょんな事から同行する事になった女スリも自分の人生を考え直す。
堅気じゃない世界で生きてきた者が赤ん坊への愛情によって感化されていく姿がなかなか感動させる。
座頭市の話と行ったら基本、ふらりとある宿場に流れ着き、その町を牛耳るヤクザ一味とその用心棒を倒し、またふらりと去って行くアウトロー物だが、本作のような人情話もいい。
刺客相手の居合切りは勿論、定番の博打も。
辿り着いた赤子の父親というのが…。
世の畜生共へ、市が一喝する。
一作目以来となる三隅研次の演出は快調、伊福部昭の音楽も格調高く。
印象的だったのはラストシーン。
旅先で度々出会った仲良くなった盲集団と擦れ違うも、背を向ける。
もし、自分が盲でなかったら…? 流れ者でなかったら…? 赤ん坊を…。
市が初めて自分の境遇を否定した…というのは深読みし過ぎだろうか。
幸せを失って心に穴が開いてしまったようなラストが胸をしめつける。座頭市のいいところが詰まった作品。おしめかえまくり人斬りまくりの赤子を連れての旅。スリのお香を斬る為に追ってきたサムライを話術と剣術でまるく収める市。おしめをかえながら博打する市。寝不足だからと商売女に赤ちゃん預けて一人で寝ようとするもやっぱり赤ちゃんが気になって寝れない市。名シーンばっかり。
後半、お香が改心して真面目になるよといって擬似家族みたいになったのも良かった。
他の誰よりも愛している赤ん坊の幸せを願って、最後は和尚に育ててもらうという選択をするのだけど本当に凄く寂しそうで泣けた。