「ミモザ館」に次ぐジャック・フェーデ監督作品で、彼の前二作及び「みどりの園」「地の果てを行く」の脚色者シャルル・スパークが書卸し、「第二情報部」「リリオム」のベルナール・ジンメルが台詞を書いた。撮影は「外人部隊(1933)」のハリー・ストラドリング、音楽は新人ルイ・ベーツが当たった。出演者は「ミモザ館」のフランソワーズ・ロゼー及びアレルム、「装へる夜」のジャン・ミュラー、フランス劇壇の大立者たるルイ・ジューヴェを始め、「外人部隊(1933)」のリーヌ・クレヴェルス、新人ベルナール・ランクレ、新人女優ミシュリーヌ・シェイレル、「最後の戦闘機」のピエール・ラブリ、「最後の億万長者」のマルセル・カルパンチェ、「プレジャンの舟唄」のジネット・ゴーベールという顔ぶれである。
女だけの都評論(2)
やっぱり「女は強い」。男は女なしでは生きられないけど、女は男なしでも十分生きていける。生活に対する知恵が働くし、身の周りの世話がキチンとできるからだ。ウーマンリブ映画だが、この作品の面白いのは舞台が中世の所。まだまだ女性に対する差別が激しいこの時代だからこそ、女性が威張り散らすだけで脳の無い男性をやりこめるところが爽快だ。さらに、公開当時ではきっとまだタブーとされているであろう、女性の性意識もあっけらかんと描かれていてニヤリとさせられる(部屋ごとの男と関係を持っちゃう宿屋の女将とか)。興味深いのは、男性と女性の結婚観の違い。特に中世では娘の結婚は父親の意見に左右される。欲深い父親が、娘の好みとは真逆のとんでもないイヤな男と無理やり政略結婚させるこの時代でも、恋する乙女の心は変わらない。貧しくても愛する人と結婚したいのだ。そしてそんな娘の気持ちを誰よりも解ってくれるのは同じ女である母親。何人もの子供を育て上げ、横暴な夫に従えて来た母親達は、攻めてきたスペイン兵を手なずけ、平和をもたらし、愛し合う者たちを無事結婚させてやる。このバイタリティー、本当に女は強いのだ。素晴らしい女性賛歌であるとともに、上質なコメディーの秀作。
祭りの準備に忙しい様は正にブリューゲルやヒエロニムス・ボスの絵のままが映像で再現されており感激した
撮影年代的に白黒しか仕方ないのだが、カラーで観たかったと思う
登場人物には、ブリューゲルと言う名の画家まで登場する
昨年、ブリューゲル展を観て、ブリューゲル父子のみならず、ヒエロニムス・ボスの代表作も含めフランドル地方の絵画や歴史の知見を得たばかりであったので余計に嬉しくなった
映画自体も面白く退屈せず観れた
主演の女優の演技もまた素晴らしい
ラストシーンの表情は余韻が残るほど