第二次大戦において連合軍側に徹底的勝利のチャンスを与えたノルマンディの攻防戦を描いたコーネリアス・ライアンのベスト・セラーを映画化した戦争スペクタクル。脚色はアメリカから「地上より永遠に」の原作者ジェームズ・ジョーンズとフランス「自由の大地」のロマン・ギャリー、デイヴィッド・パーセル、ジャック・セッドンがあたっている。監督は4人でうけもち、「橋」のベルンハルト・ビッキイが守備側のドラマ・シーンを「ベン・ハー(1959)」の戦車競走シーンを撮ったアンドリュー・マートンが攻撃側のスペクタクル・シーンを、「謎の要人悠々逃亡!」のケン・アナキンが攻撃側のドラマ・シーンを、「真昼の決闘」の編集者エルモ・ウィリアムスがそれぞれ演出している。撮影はジャン・ブールゴアン、ヘンリー・パージン、ウォルター・ウォティッツの3人が担当し、ノルマンジーの現場で6カ月間ロケを行った。「自由の大地」のダリル・F・ザナックの製作になるものである。音楽は「ワルソー・ゲットー」のモーリス・ジャール、主題歌をポール・アンカが作曲している。出演者はアメリカからジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ミッチャム、メル・ファーラー、スチュアート・ホイットマン、ロバート・ライアン、ジェフリー・ハンター、リチャード・ベイマー、エドモンド・オブライエン、ロバート・ワグナー、トミー・サンズ、ポール・アンカ、フェビアン、トム・トライオン、サル・ミネオ、レッド・バトンズ、エディ・アルバート、スティーヴ・フォレスト、レイ・ダントン。イギリスからケネス・モア、リチャード・バートン、リチャード・トッド、ピーター・ローフォード、レオ・ゲン、ロン・ランゲル、ショーン・コネリー、フランス側からはジャン・ルイ・バロー、マドレーヌ・ルノー、クリスチャン・マルカン、フランソワーズ・ロゼエ、アルレッティ、ブールヴィル、それにザナックに発見されてこの映画でデビューするイリナ・デミック。ドイツからはクルト・ユルゲンス、ウェルナー・ハインツ、ピーター・ヴァン・アイクなどが参加している。
史上最大の作戦評論(7)
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ
大量の登場人物を上は元帥から下は十代の新兵、市民、レジスタンスまで扱い、様々なエピソードを縦横に巡らせて、全体として巨大で見事な絵柄のタペストリーを織り上げて、この巨大な作戦の全貌を俯瞰させてくれる
これ程見事に構成された脚本は他に類を見ない
もちろん戦闘シーンの迫力も物凄い
クライマックスの上陸シーンなどは恐ろしいほどの人数のエキストラを動員しており、昨今のCGでコピペしたような嘘でない迫力がある
そしてその戦闘シーンの中にはぐれた兵達や、負傷して戦えず傍観する物語が意外なほど挟まれる
決して勇猛果敢な英雄達だけの物語ではなく、一兵卒、一般市民の視点を忘れずに製作されている
この脚本の見事さは他の戦史を扱った戦争映画の中で一番のものだと思う
超有名な口笛のマーチはラストシーンで流れるが、劇中で様々なアレンジで使われている
戦争映画の名優ジョン・ウェインは、落下傘部隊の隊長として登場する。しかし、目標から落下地点が5マイルもずれてしまう。しかも着地の時に足を骨折してしまう。荷車に載せられて移動するが、そこで木にぶら下がったまま亡くなった部下を思いやる。
連合国軍の上陸作戦は困難するも成功する。海から上陸した歩兵部隊の戦闘シーンは凄まじい。
口笛の鳴るこの映画のテーマ曲は余りにも有名。作品は1962年度アカデミー賞を受賞。
第二次世界大戦における連合国側の勝利の決め手となったノルマンディー上陸作戦-通称“D-DAY”の真実を、連合国側とドイツ側の視点を交互に交えながら描く戦争大作。
ジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、ヘンリー・フォンダなど、主役級スターばかりの超豪華キャスト。それだけでも本作がえげつない超大作であることの証明であり、興奮必至の作品であることに疑いの余地はありません!
ロンメル元帥の言葉から始まるオープニングが、これから始まる圧巻の物語への期待を否応無しに高めてくれました。秀逸です。
作戦開始までの紆余曲折を描きながら、綿密な計画を立てる連合国軍上層部と、危機を察知しながらもどこか楽観した空気の漂うドイツ軍との対比が面白かったです。…にしても、どこまでが史実に忠実なのかは分かりませんが、双方の描写の違いに“勝者の歴史”みたいなものを感じないわけには行きませんでしたが…。
パノラマ的に出来事が配置されていてとても観応えがありましたが、いかんせん膨大な登場人物が出て来るので人間関係の整理をするのが大変でした。字幕で観ていると、全員の声が同じに聴こえて来て大変でした(まだまだ修行が足りません…(笑))。
日本で販売されているソフトに収録されている本編は、「アメリカ公開版」と小さく注記が書いてありました。だからなのかは分かりませんが、ドイツ軍の描写に対して連合国側のそれの方が比重が大きいような気がしました。戦場で戦う兵士たちの悲喜交々なドラマは、連合国軍側しか描かれていなかったように思いました。
いつ作戦が始まるのか、兵士たちのジリジリとした想いが私の感情に直結していくようで、ハラハラしました。焦らされ焦らされ、双方の思惑が交錯する中、ついに決行される空前絶後の“史上最大の作戦”! 約5000隻の上陸用舟艇がノルマンディーに雪崩れ込みました!
戦闘シーンに炸裂するスペクタクルが堪りませんでした。まさに興奮の坩堝。乱れ飛ぶ砲弾、巻き上がる砂、吹き飛ばされる兵士たち…。昨今のCG頼りな場面とは違い、実物大のセットや本物の戦車などを駆使した圧巻のシーンの連続。本物だからこその迫力だなと感じました。
戦場で如実に示される戦争の過酷さと理不尽さ。そして容赦無く奪われる命。誰にも見えない己の運命…。それでも戦う男たちの熱きドラマが胸に迫って来ました。暗闇の中、誰が敵とも分からない中を行軍するスリルがハンパなかったです。
映画の殆どがカラー作品になっていた中であえてモノクロを採用しているのは、白黒映像が戦争の空気感を実際の記録映像のような感覚で映し出し、なおかつ作品が持つ重厚感を巧みに演出するためだったのかな、と…。これがもしカラーだったとしたら、ここまでの名作にはなっていなかったかもしれないなと思いました。
それに、邦題。もしこれが英題直訳の「長い一日」だったり、ただカタカナに直しただけの「ロンゲスト・デイ」だったとしたら絶対にヒットしていなかっただろうなぁ…。「史上最大の作戦」―この字面を見ただけで何だか血沸き肉踊って来ませんか?(笑) 水野晴郎のセンスは卓越したものがあるなと改めて感服しました。