「白痴(1921)」「激流の哀曲」の監督者カール・フレーリッヒが総指揮のもとに完成された作品で、クリスタ・ウィンスロー原作の舞台劇『昨日と今日』を、ウィンスロー自身及びF・D・アンダムが共同で脚色し、ラインハルト門下の女流舞台監督として令名あるレオンティーネ・ザガンが第一回作品としてメガフォンを取った。出演者は全部舞台女優であり、映画には初出演の人々のみを集められている。主演はドロテア・ヴィーク、ヘルタ・ティーレ、エレン・シュヴァネッケ等の若い女優及び、エミリア・ウンダ等である。キャメラはライマール・クンツェ、フランツ・ワイマイヤーの二人である。
制服の処女(1931)評論(2)
多感な青春期の自由恋愛についてのテーマでは、木下恵介監督の名作「女の園」がこの作品と共鳴する。どちらも深刻さが支配する暗い物語だが、人間を見詰める作者の視点は厳しく熱い。
この映画が撮られた当時のドイツは戦争前、まだ軍国主義が学校にも残っている時代だった。
この映画はそんな雰囲気を感じさせもしないような、愛のある、可愛らしいものだったと言えると思う。
ネタバレにはなるが、ヨーロッパ演劇特有の学校演劇を皇室の人間が見に訪れるシーンは、皇室の人が来るというのに、はしゃぐ女子学生の描かれ方、役者の芝居がとてもナチュラルで良かった。
青春映画と人情映画の間くらいの位置にある、個人的に心地いい映画だったと思う。