スウェーデンが生んだ世界的巨匠イングマール・ベルイマンが、敬虔なキリスト教徒の娘に降りかかった悲劇と父親の復讐を通して“神の不在”を描いたドラマ。16世紀スウェーデンの田舎町。豪農のひとり娘カリンは、教会へ向かう途中で3人の羊飼いに出会う。貧しそうな3人に食事を施すカリンだったが、彼らはカリンを強姦した上に殺害してしまう。娘の悲劇を知ったカリンの父テーレは、復讐心から3人を惨殺するが……。2013年、デジタルリマスター版でリバイバル公開。2018年の「ベルイマン生誕100年映画祭」(18年7月~、YEBISU GARDEN CINEMAほか)でもリバイバル上映。
処女の泉評論(9)
カメラワークや作品のテンポなどベルイマンのこだわりが随所に観れる作品だと思いました。
モノクロ映像の光と影が美しい。
ベルイマンの演出は演劇の凄さである。役者の台詞の発声、呼吸の取り方、表情の固定は舞台の表現そのままに、カメラワークの視点の変化で人物表現の多様で複雑な広がりを成立させている。舞台空間をベルイマンの視点と同時に窺いみることで、その演劇の完成された純度に圧倒されてしまう。ベルイマン映画の中でも理解しやすい内容と主題の鮮烈な傑作であった。
特に娘の家とは知らず一夜の宿を求めてからのシーンは、映画の中の子供様に余りの緊迫感に吐きそうになるくらい強烈です
もうただただ圧倒されました
なんとなく黒沢明監督の羅生門の影響を感じました