21人を殺して21才にして死んだ西部開拓史上名高い無法者ビリー・ザ・キッドの生涯を、リアルに描こうとした西部劇。ゴア・ヴィダルの原作をレスリー・スティーヴンスが脚色、新進アーサー・ペンが監督した。撮影監督は「十戒」のペヴァレル・マーレー。音楽はアレクサンダー・カレッジ。キッドに扮するのは「傷だらけの栄光」「追憶(1957)」のポール・ニューマン。その他「虐殺の砦」のリタ・ミラン「プロディガル(1955)」のジョン・デナー「嵐を呼ぶ銃弾」のジェームズ・ベスト、ハード・ハットフィールド、ジェームズ・コングドン等が出演する。
左きゝの拳銃評論(2)
英国訛りの平和的なタンストールは牛の値段交渉のためリンカーンに向かう途中、ライバルの悪党に殺される。早速復讐である。しかもすぐに復讐の復讐によってタンストールの知り合いの家を焼かれてしまう。なぜだか軍から恩赦が出て無罪放免となったビリーと仲間たち。しかしタンストールを殺した奴がまだ2人。やっちまった・・・
かつての仲間でもあり、仲裁役だったパット・ギャレットの結婚式に彼らは最後の仇を撃ち殺し、パットは怒って保安官になることを決意する。そして逮捕、脱走・・・とお馴染みのビリー・ザ・キッド物語。
復讐だけを描くような、むしろ善玉であるようなキャラかと思ったら、結局は善人も殺していく様子も描いていた。若者の暴走といった感じだが、ポール・ニューマンではその心理を上手く演技できてないようにも思える。『ヤングガン』よりは若干まし。
ストーリー: 65
キャスト: 65
演出: 60
ビジュアル: 55
音楽: 60
ビリー・ザ・キッドといえば開拓時代の歴史に残る有名な無法者。だが彼を西部の英雄として脚色しすぎて描くのではなく、等身大の若者として描いているのが評価できる。日常の彼はありきたりな若者の一人。だが自分の価値観に従って開拓時代の西部を生き、復讐のために人を殺め、そのためにお尋ね者として追われる日々。仲間を失い心休まる時もなく心身ともに疲れ果てていく姿が痛ましい。主演が若き日のポール・ニューマンということで、彼の若々しい姿とやつれていく過程がビリーと重なっていて良い。
個人的には歴史上の人物ビリーにたいして思い入れもあるわけではない。またポール・ニューマンは好きだけれども、彼の演じた作品中のビリーにたいしても特に大きな魅力を感じたわけでもないので、たいしてこの作品にのめり込んだわけでもなく、点数としてはこの程度です。悪く言えばビリーは開拓時代に存在したありきたりの暴走した若者の一人に過ぎなくて、私にとってその名声ほどは主人公としての魅力に欠ける。