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実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)評論(15)
あさま山荘の内と外でともに、うるう年、2月29日が話題になってたのが面白かった。
当時、小学生だった私はテレビ見ながら、何がなぜ起こってるのかまるでわからなかった。でも少なくとも、若松監督の映画でどんなことが「あさま山荘」以前にあったか。それはよくわかった。映像の強さを感じた。
今でもどこにでもあることだと思う。勇気がなかった、だから言えなかった…。今でもある。
これも実際にあったことで目を逸らしてはいけないと思った。
役者達のリアリティ溢れる演技が本当に怖かった。
革命の名の元、自分達の正義を信じ、国の為戦って散っていった若者達。
彼らのような若者達の命の上に俺らはいる。
かといって共産主義、赤、極左を礼賛はできない。でもこの時代の左派は愛国を感じる分、今の左派よりはマシな気がする。
今も昔も声高に平和を謳う奴等に限って暴力的かつ過激だよな。
総括の名の元死んでいった者達。
彼らはお国の為に死んだんですか?
革命の名を冠した宗教じみた理不尽な組織に殺されたんじゃないですか?
それでいて、散っていった同士の志を継ぐとか虫が良すぎんだよ。
ただ、今の日本がアメリカじゃなくて中国を選んでいたとしたらこの映画の評価は180度変わると思う。
怒り、焦り、哀しみ、苛立ち・・・そして、少しの羨み
そんな行き場のない感情と、
あまりにも無知であった自分への羞恥と共に
過ぎ去った190分。
気づけばエンドロール。
事件には、被害者と加害者が存在する。
連合赤軍は、加害者なのか?被害者なのか?
何が正しく、何が間違っているか。
そんなのは所詮、私感・道徳観ありきのことであり、
人間(世界)というものは、もっと複雑で混沌としている。
この作品は、「あさま山荘事件」の善悪を問うものではなく
何故、事件が起きたのか。その道程(みち)
現代日本に生きる私たちには、遠くの国の現実離れしたお話も
集団、権力、独裁、テロリスト
知らぬ間に陥る負の連鎖
事件の加害者であり、時代の被害者でもあるのかもしれない。
とにかく、映画としてどうこうよりも
ひとりでも多くの日本人に伝えたい作品である。
鑑賞後、劇場エントランスでタバコを燻らす指の震えが止まりませんでした。
革命に散って逝った同志ではなく、自らの自業自得とは言い難い、イジメにあって死んでしまった同志達、イジメを止める勇気がなかった革命家達。
その勇気を否定する連合赤軍元メンバー、何故にあのシーンを若松孝二は加えたのか?
逃げて闘わず、舞い戻り、間違った権力を振り翳す森恒夫の腐った根性、嫉妬を怒りに無理難題を提案する永田洋子の自分を棚に上げ捻じ曲がった根性、そんな二人の総括は行われず。
演じた地曳豪、並木愛枝、この二人が嫌ぁな存在感をリアルに醸し出す最低最悪な役柄を最高に演じ切った。
無名、有名と関係なく入り乱れる役者陣、すべての演技が素晴らしく、一人一人の強い存在感。
ゴジが撮らないから、自らの別荘をブッ壊す本気度を披露した若松孝二の凄さが真に迫って来る。
親日家でもあるジム・オルークの音楽も、違和感なくラストに効果抜群、余韻が残る。