潔癖症に苦しむ孤独な青年と視線恐怖症の不登校女子高生のはかない恋愛を描いた三秋縋の同名小説を原案に、林遣都と小松菜奈で描くラブストーリー。極度の潔癖症から誰とも人間関係を築くことができず孤独に生きる青年・高坂賢吾は、視線恐怖症で不登校の少女・佐薙ひじりの面倒を見ることになった。露悪的な佐薙の態度に閉口する高坂だったが、その言動や行動が自分自身の弱さを隠すためだと気づき、彼女に共感を抱くようになる。2人はクリスマスに手をつないで歩くことを目標にリハビリをスタートさせる。次第に惹かれ合った2人は初めての恋に落ちていくが……。高坂役を林、佐薙役を小松がそれぞれ演じる。映画、CM、MVなど数多くの映像作品を手がける映像作家の柿本ケンサクがメガホンをとった。
恋する寄生虫評論(7)
この作品もそうですが、ストーリーが風変わりな分、ネタバレとも言うべきラストを予告編でバラすのはマジで無いと思います。ああ、どうせあのオチよねって思われながら、機械的にストーリーを追われるのはどうなんだろう。みんなその話知ってるわけじゃないんだぞ?
そんなこんなで結構楽しみにしてました、この映画。
結論を申し上げますと、個人的にはなかなか面白かったです。寄生虫が宿主である人間の感情を左右させるという、一見ホラーな展開を恋愛モノに昇華させるとか。なかなかパッと思いつかんです。虫の話なのに切ない。どういうことだ。
あと、キャストさんが絶妙でしたね。最近は爽やかお父さん役ばかりやっている井浦新さんが、久々にクセのある二面性のある役をやられてました。いいぞもっとやれ。
メインキャストの小松菜奈さんと林遣都さん。ビジュアルと演技力を兼ね備える実力派のお二人ですが、この二人の掛け合いが実に素晴らしく純粋で可愛らしかったです。汚れた己の心が浄化されるようでした。
登場人物がほぼメインキャストの4人のみで展開される珍しい作品なので、大人数でわちゃわちゃするような作品が好きな方には受け付けないかと思います。
ただ、映像美を堪能したい方や一風変わったストーリーを楽しみたい方、小松菜奈さんクラスタの方には全力で推せる作品です。
特に冒頭の主演ふたりが登場するシーンは引き込まれる。想像していた恋愛映画の印象とは異なり意表をつかれた。監督曰くそういったいろいろな角度から観られることを伝えたかったらしい。
音楽は総勢13組に作ってもらっているようだがそれぞれかっこよく、かと言ってバラバラではなく統一感もあって、ラストAwichの主題歌がしっかり締めてくれる。
英語の曲から最後だけ日本語の曲となって、観ている人に寄り添っていく演出をしたとのこと。
ただ(原作は読んでないが)ストーリーは薄く、なんでいきなりそうなるという唐突感は否めない。感情移入はできなかった。
寄生虫を表現するから仕方がないが、寄生獣的なCGがたまに入ってきてちょっと世界観を崩していた。なくても想像のなかだけで成立したのではないか。
マイノリティー(弱者)に手を差し伸べる映画のはずだがあまりメッセージも伝わってこなかった。
映像クリエイターとして新しい映画スタイルへの挑戦は素晴らしく次回作に期待したい。