モンゴルの雄大な草原を舞台に、母と息子の思い出の木を探す旅を描いたロードムービー。内モンゴル自治区の都会に暮らすミュージシャンのアルスは、兄夫婦とともに集合住宅の小さな部屋で暮らす認知症の母を引き取り、母が求めてやまない故郷へ連れて帰ることに。広大な草原の中で2人きりの生活が始まるが、母の病状は次第に悪化し徘徊を繰り返すようになっていく。アルスは母が迷子にならないよう縄で母と自分の体を結びつけ、一緒に母の思い出の木を探す旅に出る。主人公の母子を演じるのはモンゴルのベテラン女優バドマと、本作が俳優デビューとなるミュージシャンのイデル。内モンゴル自治区出身でフランスで映画を学んだ女性監督チャオ・スーシュエが長編初メガホンをとった。2022年・第35回東京国際映画祭「アジアの未来」部門出品作品(映画祭上映時タイトル「へその緒」)。
草原に抱かれて評論(2)
認知症を患った母のために故郷に帰るミュージシャンが、母の思い出の場所を探すために荒涼とした内モンゴルの大地を2人で旅をする。ランドスケイプが大変美しいので、それだけで観る価値あるものと言えるが、音楽もセンスがいいし、見どころがたくさんある。
「へその緒」というタイトルは、認知症の母が勝手にどこかに行かないように、ロープで自分と結びつける様に重ねているのだが、そのロープを切り離す時、それは子どもの親離れだけではなく、死という新たな旅立ちの瞬間を示しているのかなと感じた。この世界に赤ん坊として生まれてくる時にもへその緒を切り離すが、死の世界へと旅立つことも、新たな世界への生まれ直しと捉えているので「へその緒」なのかなと。アジアのカルチャーは広くて深い。こういう映画が一般劇場でももっと上映されると嬉しい。
兄夫婦の暮らすアパートを訪ねたら、部屋には檻があったり、やりたいことをさせて貰えず怒られてばかりだったり。
そんな状況下家に帰りたいと言い出す母親を引き取り、以前暮らしていた草原の中のポツンと一軒家に戻り2人で暮らし始めるけれど…。
写真に写る木を捜す話したり面倒をみる様はは、確かに母親への愛情が見てとれるけれど、徘徊する母親を紐で繋いでいる描写は、結局兄貴と同じということを言いたいのか?まあ兄夫婦だって全然悪い印象なかったけどね。
色々ありつつも母親に寄り添う息子をみせるっていうところでは良かったけれど、最後はどういうことと解釈すれば良いのかわからず。
さようなら?
何だかモヤ〜っとした感じ。