自主制作の映画のほかファッションブランドの映像やMVなども手がける新鋭の映像作家・野田英季が、自ら命を絶ってしまう子どもたちがいる社会の現状と、自身の学生時代の経験などに基づいて手がけた長編作品。2018年に福岡で結成され、SNSなどで注目を集める4人組バンド「クレナズム」が音楽と主題歌を担当。同バンドのボーカル&ギターの萌映は出演もしている。親友のハルが文化祭前に自殺し、自己嫌悪を抱きながら生きる高校生の木崎ミナ。転校生のドラム演奏者の黒田ハルカと一緒に、ハルが残していた未完成の楽曲を見つけたミナは、それらの楽曲を通して当時のハルの心に触れていく。そして、ハルの楽曲たちに導かれるようにミナとハルカは文化祭への出演が決まり、2人の思い出の夏が始まっていく。ミナ役は「ミスiD」2020および2021ファイナリストの八木ミナミ、ハルカ役は実際にドラマー&パーカッショニストとして活躍している佐久間遼。「クレナズム」の萌映はハル役を務めた。
ふたりの傷跡評論(5)
文化祭を前に自殺した親友が作った未完成の曲を、完成させて文化祭で演奏しようとするJKの話。
音楽が大好きな二人きりの親友が文化祭前に自殺して、塞ぎ込む主人公の前にドラムを叩く同級生が転校してきて巻き起こっていく。
始まって早々にハルが自殺するけれど、それまでに深いドラマをみせる感じでもからイマイチ感情移入出来ず。
そして現れたハルカ…都合よいけどまあそこはわかるけれど、そのブチ切れはちょっと酷くない?なんなら利用しているのは自分の方じゃ?女性にありがちなマウンティングも入ってますかね。
そして山場、頑張ったのは良いけれど、弾けるどころかエフェクターまで使いこなし…えっ?ギターとベースの音被せるんですか?
それならipod音源で歌わせた方が…。
話しは良くわかるし悪くはなかったけれど、もうちょいしっかり作り込んで欲しかったかな。
インスタの広告で流れてきた映像がとても好みなものだったので近くでの上映を待っての鑑賞。舞台挨拶付き上映でした。
文化祭前に親友のハル自殺してしまい、心を少しだけ塞いでしまったミナの元にやってきたのはドラムが演奏できる転校生のハルカ、2人は一緒に文化祭に出ようと約束するが…といった感じのあらすじです。
いじめや自殺というものをテーマに扱う作品はコロナ禍以降多く増えており、そのテーマ一本で突き進んだ結果、陰鬱な展開ばかりの作品が生まれるといった光景を多く観てきましたが、今作は暗い部分はありつつも、そこを補う爽やかさがあったのが印象的でした。
とにかく前を向いていかないと、と頑張って踏ん張って進もうとするもどこか躓いてしまう、自分にもよく当てはまりますし、とにかく現状を脱さないと何も変わらないと強く思う気持ちを表には出せずにいるミナの表情や行動は強く残りました。
学校での演奏シーン、ステージ上でもグラウンドでも屋上でもない、体育館のど真ん中にギターとドラムというシンプルなセットから繰り出される力強い楽曲がとても良かったです。役者陣の生演奏というのも作品としてのクオリティを底上げしており、このシーンを見ただけでも映画館で観れてよかったなと思うことができました。
ラストシーンでミナの手を引っ張ったのはハルなのか、それともハルカなのか、観る側に委ねられたシーンで膨らむ考察ほど面白いものはないよなと再確認することができました。
駆け抜ける夕暮れの帰り道、とてもとても素敵なカットでした。
ただ「ふたりの傷跡」というクレナズムの楽曲は本当に良い曲だと思うんですが、劇中4回ほど歌われており、演奏シーンはいいんですが、エンドロールでも流れるのは少しくどいなと思ったところに、クレナズムのMVとしてもう一度「ふたりの傷跡」を流れてきた時は流石に胃もたれしました。
製作陣がこの曲が本当に好きなんだなというところは伝わってくるんですが、同じ曲でも短時間に何度も聞かされると流石にモヤっとするところがありました。
キャラクターの感情もなんだかブレッブレで、クラスメイトはそれまでうんたらどうたら言っていたはずなのに演奏シーンになったら急に手助けをするし、無茶苦茶ひどい言葉を浴びせる割には別に説得力も何も無いしで響かないし、ミナのお母さんはヒステリックなのか情緒不安定なのか、登場シーンが少ないので判断ができかねませんし、店長も何故か入院してて語りかけてくるのは流石に恐怖でした。
限られた予算と時間と人数、しかも撮影中はコロナ禍真っ只中という大変な状況で作られた今作。もちろん拙いところは多いですし、色々引っかかるところはありましたが、王道青春ものとしては綺麗に完結したなぁという印象です。監督が次にどんな作品を撮るのか、とても気になるので追いかけていきたいと思います。
鑑賞日 11/4
鑑賞時間 17:00〜18:40(舞台挨拶付き上映)
座席 B-3
ちょっと、セリフが少ないですね。
学園祭ではなかったけど、いい音楽でした。
エンドロール良かったです。
エンドロール後の一曲とても良かったです。
まず音楽を担当してるのが、福岡のバンド『クレナズム』
クレナズムの音楽が大好きなのでこの映画を知り、鑑賞しました。
クレナズム好きには絶対見て欲しい映画
そして、クレナズム好きと言うフィルターを通さずに見ても、とても良い映画でした。
少し重いストーリーながらも、主演の八木みなみさんを始め佐久間遼さん、クレナズム(Vo.)萌映さんの3人の初々しいキラキラとした演技は素晴らしかった。
特に萌映さん演じるハルの存在感。
金髪で存在感抜群なんだけど、何か透けてる様な不思議な佇まい。
核となる人物として強烈な印象を残してた
八木みなみさん演じる主人公ミナも揺れ動く心と感情、傷を負いながらもラストへ向けて眼力が増していく。
佐久間遼さん演じるハルカもドラムを通して素晴らしい演技と演奏、ラストのドラムは感動的でした。
主題歌『ふたりの傷跡』も全編通して重要な音楽となり、ラストの演奏は圧巻だった。
ぜひミナの歌声とハルカのドラム演奏を見て欲しいと思います。
そしてクレナズムの『ふたりの傷跡』も沢山の方へ届いて欲しい。
他にも若い3人を見守る様に脇を固める俳優陣、低予算ながらも素晴らしい青春映画でした。
人が命を絶つお話は心がギュッとなります。特に若い命の場合は特に。
もし高校生の頃、そんな体験したら自己嫌悪で立ち直れないかも。しかもコロナ禍の中で。
誰かと共有できる傷跡=絆があれば前に進むことができるのかな(こんな安い表現しかできないことが悔しいです)。
ミナ役の八木さん、ハルカ役の佐久間さん、ハル役の萌映さんは、映画ほぼ(?)初出演ということでしたが、初々しさが自然に感じられてとも素敵でした。
PS:エンドロール後に特典映像あり、最後まで観てください。