神経を病んだ妹を見守る兄と、その妹と恋に落ちる風変わりな青年との交流を描く青春ドラマ。監督は「ナショナル・ランプーン
クリスマス・バケーション」のジェレマイア・S・チェチック。製作はキャスティング・ディレクター出身のスーザン・アーノルドとスクリプター出身のドナ・ロスの共同。エグゼクティヴ・プロデューサーはビル・バダラート。レスリー・マックネイルとリングリング・サーカスのピエロとして活躍していたバリー・バーマンの原案をもとに、バーマンが脚本を執筆。撮影は「恋はあせらず」のジョン・シュワルツマン、音楽は「迷子の大人たち」のレイチェル・ポートマンが担当。主演は「シザーハンズ」のジョニー・デップ、「フライド・グリーン・トマト」のメアリー・スチュアート・マスターソン、「わが心のボルチモア」のアイダン・クイン。他に「ゆりかごを揺らす手」のジュリアン・ムーア、「ベートーベン」のオリヴァー・プラット、「ブラッド・シンプル」のダン・ヘダヤ、「バクダッド・カフェ」のCCHパウンダーらが共演。
妹の恋人評論(14)
ストーリー: 55
キャスト: 65
演出: 65
ビジュアル: 65
音楽: 70
登場人物はみんな田舎でささやかな幸せを求めてその日その日を生きている人々。彼らの幸せ探しの心温まる物語。
なのであるが、正直物語はあまり面白いとは思えませんでした。なんというか、精神を病んだ妹や殆ど文盲で生活力のない映画マニアとかに現実感とか共感がわかなかったのかもしれません。彼らも不幸な過去があったのは想像できる。でもそれがあまり描写されずにいきなり物語が始まるので、彼らがどんな人物でどんな人生だったのかわからず、そのためにこちらが彼らの人生や苦悩にのめりこめないのだ。
ジョニー・デップはちょっと不可思議な人の役をやらせると非常にうまいと思う。ここでもとぼけた演技を見せていました。他の出演者もほのぼのと演技をしていてそのあたりは良かったと思います。
妹のジューン(マスタートン)はちょっとしたことでも発作を起こしがち。冒頭ではシュノーケルをつけたまま町を歩くという風変わりな女の子でもあった。しかし、それを上回るほど変わった男デップの登場。みんなを楽しませるが、そのうち妹と仲良くなってゆき、兄ベニーに反対される。
ついに駆け落ちするのですが、バスの中で発作がおこり、病院に運ばれる。ここでもデップの技が存分に発揮され、笑わせてくれる。たしかに『シザーハンズ』の雰囲気と似たようなところもあるかなぁ。
折角いい役者使っても・・・。
ジョニデありきの作品。
若きジョニー・デップがいい味出してます。兄役、妹役もそれぞれ魅力的。愛溢れるファンタジックラブストーリー、隠れた名作とも言われている模様。なるほど納得。
兄の恋人役でジュリアン・ムーアも出演してますが、冒頭、車の修理を依頼する美女が気になる。大成しててもよさそうなのだが…難しいものですね。
若かりし日のジョニーデップが主演に次ぐ俳優として出演しています。主演の二人も悪くないのですが、完全にジョニデの映画になってしまっています。
精神的に不安定な妹を支えながら懸命に生きる兄、彼らの前に一人の風変わりな男が現れて・・・ というストーリーですが、丁寧な造りと登場人物のキャラのよさから飽きが来ません。
この映画の良いところは悪を病気だけとすることで、出てくる人間は全て善人に描かれているところ。また見苦しい悲壮感が少なくてそれだけ主演に好感を持ちやすいです。全体的に非常に観やすくまとまった作品ですが、やや毒気が足りず物語の幅が狭いように感じます。全てにおいてお手軽な演出が本当に良かったのかどうか。
つまり、主人公達の障害となるものが目に見えない(見えにくい)病気というものだけなので、兄弟の闘いが見え辛く周囲の人々の優しさのほうが目立ってしまう、全体が埋没してしまい、スターだけが前面に出てしまっています。キートンの動きを真似するジョニデが素晴らしすぎて他を圧倒してしまう、しかし、物語の本筋ではないために焦点がぶれている。簡単にいうと映画つくりがあんまり巧くない。
この物語の構造の欠陥によって主演をはじめとするほかのキャストが犠牲になってしまっています。救いの無い話よりも救いのある映画のほうが好きですが、それにしてもこの真綿でくるむような善意の集中は心地よい反面で、映画に引っ掛かりが少なく自立性が薄い。
妹の成長を描いているようで本当は兄が成長して行くという、まあ、ありきたりな物語ですが、兄の描写が優しさ不器用さに終始している為に他が不十分になってしまい、むしろ観客側が一歩進んで感じ取ってあげないといけないように見えます。
ティーンの女の子向けの映画としては十分な出来といえますが、大人にはやや物足りなさが残ります。