フランスの名匠ルネ・クレールが初めて手がけたトーキー作品で、パリの下町で若者たちが織りなす恋の行方を描いたロマンティックコメディ。パリの街角で歌いながら楽譜を売っている青年アルベールと相棒ルイ。ある日、アルベールはルーマニア出身の女性ポーラと出会い、恋心を抱く。しかし、ポーラはゴロツキのフレッドからも言い寄られていて……。主題歌として使用されたタイトルと同名のシャンソンも人気を博した。「ルネ・クレール
レトロスペクティブ」(2021年10月15日~、東京・新宿武蔵野館ほか)で4Kレストア版を上映。
巴里の屋根の下評論(8)
美しい娘に友人同士の二人の若者が恋をする。
しかし娘はギャングのボスが狙っており、娘はまんざらでもなさそう。
4K化されており、十分楽しめる。
◆感想
・ストーリーはシンプル。路上で楽譜を売る男、アルベール(ソンナ、そんな商売があったんだ・・)は、集まってきた人々の中の口元の黒子が印象的な美しき女性ポーラに気付き、彼女をスリから助ける。
ポーラにまとわりつく、フレドに鍵を盗られたポーラはアルベールの部屋に泊めさせてもらうことになるが・・。
ー 二人が、お互いにベッドを譲り合い、翌朝ちゃっかりとポーラがベッドの上で寝ていたり(優しいアルベールがベッドに寝かせてあげたのかな?)、知人のドロボーから預かった荷物のためにアルベールが警察に捕まっちゃったり、ショックを受けたポーラをアルベールの友達、ルイが慰めているうちに・・。ー
・恋敵、アルベールとフレドの路上での決闘シーンで流れる蒸気機関車の汽笛の音の効果的な事や、当時の男性の殆んどがハンチング帽を被っていたり、時折映し出される石畳が、何だかセンス良く感じたり・・。
<愛した娘を、友人ルイに取られちゃったけれど、翌朝、明るい顔で、再び楽譜を売るアルベールの姿。
善性溢れる、高潔な映画。
”ルネ・クレール”の作品を少しづつ鑑賞して行こうと思わせてくれたほど、鑑賞後の気分が良い映画でもある。
劇中流れる数々の音楽も良いね。>
宝塚のミュージカルとは違い、下町のヨタっとした街並みに、さほど男前が活躍するわけでもないのに歌だけが今だに触りはフランス語で歌えるあたし。この映画の良さは主題歌につきるんだろう。
あの街並みがセットというのもすごいね。
これから「巴里祭」を続けてみると、ポーラ、あのポーラが町にまみれてあんな女になるのだね。
映画史的に観ればréalisme poétiqueなどと興味深いのだろうが流石に90年前の映画となると別世界の趣でとっつきにくいことおびただしい。男も皆ハンチング帽をかぶっているから誰が誰やら分かりにくいしストーリーも街のゴロツキと移民の若い女をめぐる面倒臭く退屈なエピソードと相場は決まっている。
女をめぐるオヤジ同士の決闘があったかと思ったら若い女はお似合いの若い男に譲って去ってゆくというオヤジのダンディズムか。
シャンソンはフランスの歌謡曲のようなものと聞いたことがあるので市民に根付いていることは分かるが街角で皆で合唱したりするものなのだろうか、おしゃれなパリ―ではシャルル・トレネの歌のようにどこからともなく聞こえてくる方が似合っているような気もするが・・。