デンマークの村を舞台に、現代では奇跡は起りえないと信じながらも、なお伝説の再現を待ちつづける人々を描く。製作はエーリク・ニールセン、監督は「吸血鬼」のカール・テオドール・ドレイエルで、カイ・ムンクの戯曲『言葉』を基にドレイエル自ら脚色。撮影はヘニング・ベントセン、音楽はポール・シーアベック、編集はエーディト・シューリュセル、美術はエーリク・オースが各々担当。出演はヘンリク・マルベルイ、エミル・ハス・クリステンセン、プレベン・レルドルフ・ライ、カイ・クリスチャンセン、ビアギッテ・フェザースピール、アイナー・フェーダーシュピール、ゲルダ・ニールセン、オーヴェ・ルー、ヘンリー・スケアー、アン・エリザベット、スサンネなど。
奇跡(1955)評論(2)
三男の恋人アンネの家へ乗り込むボーエン家の父親。しかし、あっけなく宗派が違うと断られる。家に戻ると長男の嫁インガが3人目の子を出産するが、難産だったため母体の危機。祈りと医学の力で助かるかと思いきや、また様態が急変して亡くなってしまう。
告別式の際、アンネの父親も参列し、娘を嫁に出すことを承諾。この宗派を超えた結婚だけでも奇跡的なんだろうけど、その後に次男が正気を取り戻して「信仰が足りない」と皆を責めるのだ・・・奇跡は起こった。
キリスト教信者でなければこの映画の良さはわからないのかもしれないけど、キリスト復活を思わせるエンディングには神聖な気分に浸れるのです。宗派を超えた敬虔な祈り。それにもまして、人間の温かさまでもが伝わってくる。